【「悪の華」を演じる俳優は将来性がある】ブレイクからトップスターへ“通過儀礼”受ける注目の役者たち
モデル出身の「悪の華」八木莉可子
やはり、Netflix配信のドラマ『First Love初恋』(2022年)で、主役の満島ひかりの少女時代を演じてスターへの足がかりをつかんだ、八木莉可子。ドラマは、宇多田ヒカルの『First Love』『初恋』にインスパイヤ―された作品である。全9話。筆者は3回も観た。 北海道の田舎の高校で、野口也英(満島ひかり、少女期・八木莉可子)と、並木晴道(佐藤健、少年期・木戸大聖)は恋人同士になる。也英の将来の夢はキャビンアテンダント、晴道はパイロットで自衛隊に入隊する。大学生時代に也英は事故に遭って、晴道との記憶をはじめ一部を失ってしまう。担当医師だった向坂行人(向井理)に見初められて、大学を中退して結婚する。そして、生まれたのが息子の綴(つづる・荒木飛羽)だった。しかし、向坂家の家風が也英の実家の環境のずれから、離婚してしまう。 別れと再会、記憶喪失とその回復の物語は、幾度も映像界で取り上げられてきた。このドラマは北海道の春夏秋冬を背景として、かつさまざまな人間模様が重なり合って独特の雰囲気をかもしだしている。 宇多田ヒカルの『First Love』『初恋』が要所に流れるのも心を打って、涙なしには観られない。Netflixの非英語ドラマのなかで、世界各国で週によって1位を獲得したのもよくわかる。
モデル出身にして、長い黒髪の美少女である八木莉可子が、一転してドラマ『潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官』(2024年、日本テレビ)に登場したときは驚いた。潜入捜査官だった父が殺された特殊詐欺グループに復讐するために、兄の渡良瀬貴一(竜星涼)とともに潜入してふたりでその幹部までになる、優貴役である。彼女はインターネットのネットワークにしのびこんだり、データを盗んだりする技術を持っている。 荒唐無稽ともいえる物語を「悪の華」となって演じる。八木莉可子のこれからの女優としての可能性を感じさせる傑作だった。