韓国前国防部長官「すべて私の責任」尋問放棄…拘束時には尹大統領の捜査急流に
内乱重要任務従事と職権乱用権利行使妨害の容疑を受けている金竜顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官の拘束の可否が早ければ10日午後に決定される。拘束される場合、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する検察非常戒厳特別捜査本部の捜査が急流に乗る予定だ。金前長官が令状審査を放棄することにし拘束の可能性が大きくなったという分析が出ている。 ◇金前長官「令状審査出席放棄」 ソウル中央地裁はこの日午後3時から金前長官に対する拘束前被疑者尋問(令状実質審査)を進める予定だった。検察は金前長官に内乱重要任務従事容疑を適用した。金前長官と国憲紊乱を目的に内乱を共謀した首魁としては尹大統領を名指しした。刑法上の内乱重要任務従事容疑は主犯に当たる首魁がいることを前提とする。 これに対し金前長官は予定された令状実質審査を放棄し、法的責任を自身が負っていくという考えを明らかにした。彼はこの日午前に弁護人を通じて配布した声明で「今回の事態と関連したすべての責任はただ私にある。部下の将兵は私の命令と与えられた任務に忠実だっただけだ。彼らには善処を願う」と明らかにした。続けて「令状実質審査は放棄する」と付け加えた。 ナム・チョンギュ判事は被疑者が出席を放棄したことから検察側だけ出席させ尋問を進めた。検察の捜査で確保した陳述と証拠を基に裁判所が拘束の可否を判断するという意味だ。裁判所が金前長官の容疑を認め拘束令状を発付する場合、検察捜査はさらに弾みを付けることになりそうだ。金前長官を内乱の従事者、尹大統領を内乱の首魁とみた検察の判断が一次的に裁判所で認められるためだ。大統領執務室、官邸に対する家宅捜索など強制捜査着手と召喚が前倒しされる可能性もある。 ◇拘束時は検察捜査に力 金前長官拘束後には内乱捜査の主導権もやはり検察に傾く見通しだ。捜査権を分け合う検察、警察、高位公職者犯罪捜査処の3機関は各自自分たちが捜査すべきという立場だが、尹大統領と内乱謀議から加担した主導者である金前長官の身柄を確保した検察が有利な立場を先取りするからだ。事件の構造上、金前長官が3日の非常戒厳宣布当日にリアルタイムで戒厳軍武装兵力の移動と、国会と選管委への進入などを指揮したためだ。口頭指示の有無と内容が重要なだけに家宅捜索を通じた物的証拠だけでは内乱実体糾明に限界がある。 金前長官は尹大統領の内乱首魁容疑を立証するに当たり「キーマン」に挙げられる。尹大統領に戒厳宣布を建議して国防業務を総括し戒厳当時第一線の指揮官に指示を与えたのが金前長官であるためだ。拘束令状が発付される場合、最大20日間の拘束捜査が可能で、検察は追加調査を通じて尹大統領関連の陳述を確保することも容易になる。 ◇軍指揮部の召喚続く…事実関係確認 一方、検察はこの日午前に呂寅兄(ヨ・インヒョン)防諜司令官を召喚して調査するなど戒厳前後の事実関係を確認することにも注力している。8日と9日にはそれぞれ戒厳司令官・副司令官を務めた朴安洙(パク・アンス)陸軍参謀総長と鄭鎮八(チョン・ジンパル)合同参謀本部次長を調査し、戒厳当日に国会などに1・3・9空輸旅団、707特殊任務団を動員した郭種根(クァク・ジョングン)陸軍特殊戦司令官を9日に召喚して陳述を聞くなど、軍指揮部の調査対象を拡大している。 呂司令官は尹大統領と金前長官の出身高校の後輩で、戒厳宣布直後に野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表、与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表ら要人15人に対する逮捕を試みるなど戒厳令執行に主導的役割をしたとされる。防諜司令部が先月、「参考資料(戒厳司令部・合同捜査本部運営参考資料)」という題名で戒厳に備えた文書を作成するなど戒厳を事前に謀議したという疑惑も出ているだけに、これに対する集中的な調査が行われる予定だ。