日産「フェアレディZ」は国産車初の自主規制280馬力! Z32トップグレードは395万円だった【今日は何の日?7月10日】
●3代目(Z31型):高性能ターボを搭載して原点回帰
1983年に登場した3代目は、排ガス規制やオイルショックを乗り越え、高性能と高機能を追求。スタイリングは、パラレルライジング式リトラクタブルヘッドライトなど、空力を意識したフォルムを採用し、エンジンは当時国内最高の230psを発揮する3.0L V6 SOHCターボと2.0L V6 SOHCターボの2種。ちなみにV6エンジンのターボ搭載は日本初だった。 さらにTバールーフモデルやセラミックターボモデル、3.0L V6 DOHCターボモデルなどを追加して、本来のスポーツカーらしさが復活した。
●国産初の出力自主規制値280psの高性能エンジンを搭載した4代目(Z32型)
基本的には、キープコンセプトの2代目、3代目に続いて、1989年に4代目が登場。当時は、空前のバブル好景気、贅沢な開発資金を背景に日産は1990年代に技術で世界一になるという目標“901運動”を掲げ、その具現化モデルのひとつが4代目フェアレディZだった。 スタイリングは、先代より全幅を75mm広げ、全高は50mm下げて、新世代スポーツを象徴するようにワイド&ローを強調。サスペンションは、前後マルチリンク、トップグレードには位相反転制御付きのSUPER HICAS(前後輪操舵)を採用し圧巻の走りを実現した。 エンジンは、最高出力230ps/最大トルク27.8kgmを発揮する3.0L V6 DOHCエンジン(VG30DE型)と、これにインタークーラー付ツインターボを装備した280ps/39.6kgmエンジン(VG30DETT型)の2機種を搭載。VG30DETTが達成した最高出力280psは、国内の最高出力自主規制のキッカケとなった。 最高出力自主規制が始まった経緯は、1980年代に始まったクルマの高出力化と比例するように交通事故が多発し、社会問題になったことに起因する。これを受け、当時の運輸省(現、国交省)が出力の規制を自工会に申し入れ、自動車メーカー各社がこれに応じる形で始まったのだ。 車両価格は、230psの標準グレード330万円、280psのトップグレード395万円。ちなみに当時の大卒初任給は16.4万円程度(現在は約23万円)なので、単純計算では現在の価値で463万円と554万円に相当する。 ・・・・・・・・ 好調に滑り出した4代目フェアレディZも、バブル崩壊とともに右肩下がりになり、同時に日産自動車の業績も低迷した。そのためか、4代目はモデルチェンジを行うことなく2000年まで11年も生産が続けられた。その結果、皮肉なことに先進性や新鮮味が求められるスポーツカーとしては異例の長寿モデルとなったのだ。 毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
竹村 純
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