10月から「厚生年金や国民年金」の手取り額が変わるかもしれないって本当?所得変動や在職定時改定の影響も
人によっては、厚生年金や国民年金の手取り額が10月から変わるケースがあります。 多くの場合は所得や控除額の変化が要因となりますが、そもそも年金から何が天引きされているのか、なぜ10月から変わるのかなど、疑問に思うことがいくつかあるのではないでしょうか。 ◆【2022年度から導入された在職定時改定】その仕組みとは?年度途中でも年金手取り額は変わる可能性あり 今回は、なぜ10月から年金の手取り額が変わるのかに加え、年金の手取り額が増減するその他の要因もいくつかご紹介します。 どのような要因で年金の手取り額が増減するのか、改めて確認しておきましょう。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
なぜ10月から年金の手取り額が変わる?
まず、年金から天引きされている税金や保険料として、以下の5つが挙げられます。 ・所得税・復興特別所得税 ・住民税 ・介護保険料 ・国民健康保険料 ・後期高齢者医療保険料 これらの税金や保険料は所得に応じて徴収額が増減するので、所得に変化があれば手取り額も増減します。 また、医療費控除が減った場合や扶養している人数が減った場合など、控除額が減ることによって手取り額が減少することもあります。 なお、年金天引きについては、仮徴収(4月・6月・8月の天引き分)と本徴収(10月・12月・翌年2月の天引き分)に分かれており、前年分の所得等が反映されるのは10月の本徴収分からです。 そのため、人によっては10月から年金の手取り額が変わる可能性があるのです。 ※自治体によりスケジュールが異なるところもあります。
年金の手取り額が増減するその他の要因
10月からの本徴収で手取り額が変わるケース以外にも、在職老齢年金制度の支給停止および在職時改定、マクロ経済スライドによる調整などによって年金額が変わるケースがあります。 ●在職老齢年金制度の支給停止および在職時改定 在職老齢年金制度とは、働きながら老齢厚生年金を受給している方を対象に、全部または一部の年金支給を停止する仕組みのことです。 2024年度においては、賃金と年金額の合計額が50万円を超える場合、50万円を超えた金額の半分が年金額より支給停止されます(老齢基礎年金は全額支給)。 また、2022年4月から「在職定時改定」という制度が新設されており、こちらも年金の手取り額が増減する要因となります。 在職定時改定は、65歳以上の在職中の老齢厚生年金受給者について、年金額を毎年10月に改定し、それまでに納めた保険料を年金額に反映するという制度です。 この制度により、厚生年金被保険者の資格喪失(退職等)を待たずに、年金額が増加することになります。 もし10月分から変更になる場合、反映されるのは12月支給分となります。 ●社会保険への加入 例えば、扶養の範囲内でパートやアルバイトとして働いている方が、新たに社会保険へ加入することになった場合、年金の受給額に影響が出る可能性があります。 というのも、社会保険に加入することによって在職老齢年金の対象になるため、前述の通り全部または一部の年金支給が停止するケースがあるからです。 現在、年収が130万円を超えると社会保険に加入するのが一般的ですが、以下の要件をすべて満たす場合にも、社会保険への加入が義務付けられています。 ・使用される従業員が常時101人以上 ・週の所定労働時間が20時間以上 ・所定内賃金が月額8万8000円以上(残業代・賞与を除く) ・2ヶ月を超える雇用の見込みがある ・学生ではない なお、2024年10月以降は、「使用される従業員が常時101人以上」から「使用される従業員が常時51人以上」の企業へと適用範囲が拡大することになります。 お勤め先によっては新たに社会保険への加入義務が発生するケースもあるので、注意が必要です。 ●賃金や物価の変動とマクロ経済スライド 現役世代の人口減少や平均余命の伸びに合わせて、年金の給付水準が自動的に調整される「マクロ経済スライド」という仕組みが導入されています。 賃金や物価の上昇に応じて年金額も増えるのが一般的ですが、年金額の伸びを調整することによって財源の範囲内で給付を行えるように保ち、長期的に公的年金の財政を運営していくことが本制度の主な目的です。 なお、現在の制度では、マクロ経済スライドによる調整は「名目額」を下回らない範囲で行うことになっています。