交流戦最下位 カープの魔法は解けたのか?
■石原の故障、そして離脱 3つ目の原因が正捕手・石原の故障だ。開幕から好調だった投手陣をリードしてきた石原だが、右肩の故障の影響から5月中旬以降出番が減少、2番手捕手の白濱と2軍から昇格した會澤の出番が増えた。白濱は今シーズン篠田、バリントンの登板日に先発マスクをかぶっていたものの、昨年までプロ通算10年で出場49試合と1軍経験は少なく、會澤は守備よりはむしろ打撃が評価されている選手。石原が正捕手としてしっかり出場できていた間は2人の長所も生かされていたが、メインで起用され始めるとチームは勢いを失い始めた。會澤が今季初先発した5月13日以降、つまり石原に故障の兆候が表れて以降の成績は8勝17敗、チーム防御率は5月12日までの3.49から4.31へと大きく悪化している。正捕手の故障、これが3つ目の原因。 ■再び浮上するためには? チャンスになると打てなくなる打撃、1つエラーをすると一気に壊れてしまう試合運び、正捕手の不在をカバーできない投手陣、これらの問題点に共通するものはメンタリティだといわざるをえない。負の流れが生まれたときにそれに飲み込まれてしまう選手が多く、雰囲気を変えられる選手がいないのだ。2012年9月には3位争いを繰り広げながら8連敗、2011年の交流戦では全く点がとれなくなり50イニング無得点で10連敗、過去何度も繰り返された悪癖は今年も克服できていなかったのだろう。ただこれは一朝一夕に解決できる問題ではない。とくに球団がFA補強に消極的な現状では、かつて阪神が金本を獲得したようなチームカラーを一変させる選手がいきなり現れる可能性も少ない。今いる選手でなんとかするしかないのだ。幸い15日の試合で連敗は止まった。8点中7点がホームラン、ミスから一度は勝ち越しを許すなど内容は連敗中と同じようなもので課題が解決した訳ではない。9連敗中に一岡、松山、石原が故障するなどチームの状況は悪化の一途だ。しかしそれでもこの白星で流れを変えなくてはいけない。誰がチームを救うのか?ここはベテランの力に頼ってみたい。2軍では東出、栗原、横山という実績ある選手が出番を待っている。入団以来ほとんどBクラスしか経験してこなかった彼らにとって。今シーズンは念願の優勝を現実的に目指せるプロ野球人生最大のチャンスだ。4月の快進撃は若い選手がもたらした、その若手が苦しみだしたこの時期にベテランがチームを支えてこそ負の歴史を払拭できるのではないだろうか。長い低迷期を経験した彼らの奮起に期待したい。 (株)日刊編集センター