[24衆院選 現場から]維新と公明「背水の陣」、互いの原点の地で初対決…大阪3区
大阪を発祥の地とする日本維新の会が、関西を牙城とする公明党に宣戦布告した。両党候補はともに比例選への重複立候補を見送り、「背水の陣」で臨んでいる。 【図】予想される各党の獲得議席…読売世論調査
「公明をぶっつぶす」
公示日の15日夜、大阪市住之江区のスーパー前。維新共同代表で大阪府知事の吉村洋文(49)は、東徹(58)の応援演説で珍しく感情をあらわにし、こうまくし立てた。
維新は看板政策「大阪都構想」の協力を得るため、これまで公明候補がいる大阪、兵庫の6選挙区で擁立を見送ってきた。都構想が2度の住民投票で否決された中、維新は昨年の統一地方選で、府・市両議会で初の単独過半数を獲得。「選挙区を譲る理由がなくなった」(幹部)とし、公明との全面対決に踏み切った。
「つぶす」発言は波紋を呼び、公明前代表の山口那津男(72)は20日、住之江区内の演説で「知事失格だ。こういう人たちにまともな政治は期待できない」と猛反発した。
吉村が激しい言葉を使うのは、維新の危機感の表れでもある。
9月下旬、地域政党・大阪維新の会がまとめた府民調査では、「半年間で12・3ポイント支持が減少」したと報告され、党内に衝撃が走った。大阪・関西万博の会場建設費の上振れや、推薦した前兵庫県知事のパワハラ疑惑が原因との見方がもっぱらだ。
前回衆院選では、公示前の4倍近い41議席を得て躍進し、全国政党化への足がかりを得た。今回初めて府内全19小選挙区に擁立し、3区は参院議員2期目だった東が名乗りを上げた。自民府議出身で、橋下徹(55)や松井一郎(60)と維新を創設したメンバーの一人だ。選挙戦では、自民の「政治とカネ」の問題を批判しつつ、「維新も問題を起こしたり、判断を誤ったりした」と釈明に追われる。
「油断大敵」
政治家を引退した松井から21日、こう書かれたメールを受け取った東は、「日本の政治を変えるためには、ここで負けられない」と気を引き締める。
「高齢者に冷たい東には絶対に負けられない」