[24衆院選 現場から]維新と公明「背水の陣」、互いの原点の地で初対決…大阪3区
公明副代表の佐藤茂樹(65)は21日、西成区の商店街で、高齢者の医療費窓口負担を3割に引き上げると掲げた維新の公約を厳しく批判した。
大阪は支持母体である創価学会の強固な集票力から「常勝関西」と称される。昨年亡くなった名誉会長の池田大作が1956年の参院選で陣頭指揮を執り、学会の推薦候補を初めて国政に送り出した地でもある。池田が滞在した「花園旅館」は西成区にあったため、今も3区は特別な存在だ。
選挙事務所内に置かれた「佐藤応援ノート」には、全国から集まった支持者がエールを書き込み、学会会長の原田稔(82)も「断固必勝!」と記した。96年の小選挙区制導入以降、新進党時代を含め、この地で議席を失ったのは、民主党政権が誕生した2009年だけとなる。
佐藤は、維新との初対決に「かつてない厳しい情勢」と焦りを隠さない。前回選の3区で公明が得た比例票は約3万2000票で、維新の約7万6000票の半分にも満たない。
そこで頼ったのは、前回選で一時は3区から出馬を模索し、比例選に回った自民前衆院議員の柳本顕(50)だ。柳本は自民市議時代、反都構想の旗頭として維新に対抗した因縁がある。15日に佐藤の出陣式でマイクを握った柳本は、3度目の住民投票阻止で合意したと明かし、「自民一丸となって応援する」と明言した。
3区は前回選で無効票が10%を占めた。全国平均(2・45%)の4倍を上回っており、自民支持層の票が含まれると見る向きは多い。首相で自民総裁の石破茂(67)も20日、てこ入れに駆けつけ、佐藤を「大事な大事な同僚だ」と持ち上げた。
3区では、共産党の渡部結(43)、無所属の中条栄太郎(55)、立憲民主党の萩原仁(57)も交え、終盤戦を迎えている。(敬称略)
(堀和彦、大阪社会部 岡田優香)