容疑者や被害者の「卒業アルバム」報道 その背景と課題
法的な問題もあります。当人に無断で卒アルなどの写真を報道すると、厳密には肖像権(人格権)に触れる可能性があります。かつて、大型の温泉旅館で火災があり、多数の方が犠牲になった時、死者やけが人の氏名や写真が広く報道され、極めてプライベートな関係が発覚してしまった事例もあります。 事件報道をめぐっては、「興味本位」「関係者をさらし者にしているだけ」といった批判が、それこそ何十年も続いてきました。それでも、「顔写真」は一向に減りません。 このような議論になると、マスコミ関係者からは「“さらし”はネットの方がひどい。本人確認をせず、別人の写真を“犯人”としてアップし、血祭りにすることもあるじゃないか」といった反論が出ます。確かにそういった側面はあるかもしれませんが、長きにわたって「卒アル」報道を続けてきたマスコミ側が問題点を整理し、厳しい自己基準を設けて実行しない限り、マスコミも加担する「さらし」は今後も止まることはないでしょう。