「正社員でも貯金できない…」41歳シングルマザーは娘の選抜コース入りを辞退して親子で泣いた ひとり親の半数近くは「困窮世帯」…物価高で増す苦しさ
もらい物、値引き商品、フードドライブ…なんとか食事を乗り切る
アパートはガス代の安い都市ガス物件で、車で数分の場所にスーパーがあるのが気に入っている。長野県上田市の女性(41)は離婚後に、4歳だった長女とここで暮らし始めて8年。もともと家計は楽ではなかったが、最近の物価高の影響で苦しさは増している。 【写真】車を運転するシングルマザーの女性 習い事の送迎には往復1時間かかりガソリン代の出費も大きい
対策として閉店間際か開店直後に買い物に行き、2~3割引きの肉や魚を購入。すぐに使わない分は冷凍する。野菜は近所からもらうことが多く、米はフードドライブ(家庭で余った食品を必要な人に配る仕組み)を活用。「少しでも食費を浮かせたい」と工夫を重ねている。
正社員でも貯金できない
子どもが幼い頃はパートタイムで働き、小学生になると収入増を目指して転職。正社員で勤務時間は長くなり、年収は約250万円とパートの頃より100万円近く増えた。しかし、収入増で低所得のひとり親世帯向けの児童扶養手当は、月4万円余から月約2万5千円に減額。「何とか生活しているが、手元にほとんどお金が残らず貯金はできない」とため息をつく。 長女は小学6年生。中学生になると出費がどれくらい増えるのかが気がかりだ。自身は高卒。長女には「大卒と高卒では給料が違う。ちゃんと勉強した方がいい」と話しているが、もしも学習塾に行きたいと言われても、現状は塾代まで出す余裕はない。
習い事だけは…
厳しい家計だが、幼い頃から運動系の習い事をしている。家事と勉強をしっかりやるのが続けるための約束。料理以外の家事は1人でできて助かる一方、女性は「同年代の子と比べて負担させすぎか」と申し訳なく思うこともあるが、「将来的に役に立つことだから」と自分に言い聞かせている。毎回の送迎には往復1時間かかりガソリン代の出費も大きい。女性は複数の割引を駆使して給油し、仕事や家事をやりくりして習い事に付き合う時間を捻出してきた。
選抜コース辞退
選抜コースの候補者として長女に声がかかったことがある。チャンスだったが月謝も上がり県外への遠征も多くなるため、さらなる負担増には家計が耐えられない―。「やっぱりお金がないと上には行けない」。辞退を申し出た後、2人で泣いた。