「正社員でも貯金できない…」41歳シングルマザーは娘の選抜コース入りを辞退して親子で泣いた ひとり親の半数近くは「困窮世帯」…物価高で増す苦しさ
「働くお母さんに厳しい」
2020年度に低所得世帯の子どもの進学を後押しする国の修学支援制度が始まるなど、支援策は拡充されてきた。ただ女性は、勉強や運動などの技能を身に付ける過程でも継続的な支援がなければ、希望する道を選択するのは難しいと感じている。 そして今、強く思うのは「日本は働くお母さんに対して厳しい」ということだ。自身、フルタイムで働き家事や学校関係の用事、習い事の送迎をこなし息つく暇もない。周りを見ると、夫がいても働きながらワンオペで家事も育児も担う母が多い。政治に対して「働く母がどう大変なのか実情を知ってほしい」と注文。「子育てしやすい環境が整わなければ少子化問題は改善しないと思う」と訴えた。
ひとり親家庭の子、半数近く困窮
厚生労働省によると、中間的な所得の半分未満の世帯で暮らす18歳未満の割合を示す「子どもの貧困率」は、2021年時点で11・5%と、3年前と比べて2・5ポイント改善した。ただ、ひとり親世帯でみると44・5%にのぼり、半数近くが困窮する状況が続く。 政府は低所得世帯の子どもが高等教育機関に進学するのを後押しするため、入学金と授業料の免除、返済不要の給付型奨学金の支給をセットで行う修学支援制度を20年度からスタート。ほかにも大学受験費用の補助など、家庭の経済状況による教育格差を解消するための施策を進める。 一方、公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(東京)が、困窮家庭の保護者412人に対して行った調査(24年2~3月実施)では、7割以上の家庭が物価高の影響で子どもの学習・体験関連の支出を減らしていることが分かった。経済的な理由で音楽や運動の習い事などの機会が乏しいという「体験格差」の解消に取り組む同法人は、「大半の困窮家庭で物価高が子どもたちの学びや生活に影響を及ぼしている」と危機感を強めている。