PR会社が齋藤元彦氏のSNS戦略を「手の内自慢」...問われる公選法との整合性 斎藤氏側は依頼自体を否定
広報全般を任せていれば「選挙運動員に当たる可能性が高くなる」
記事で削除された「SNS運用フェーズ」の画像について、SNS運用について告示前からのスケジュールが記載されているが、告示前からSNS戦略が行われていたとしたら、公職選挙法違反となるのだろうか。 正木弁護士は、実際に選挙運動に当たるかどうかは裁判所が判断するため「今回のSNS運用が事前の選挙運動に当たるのかどうかを断言はできません」としつつ、「例えばハッシュタグであれば『♯さいとう元知事がんばれ』ですから、特定の選挙を意識などしたものでもなければ投票を呼び掛けるものでもなく、選挙運動に該当しない可能性が高い」とみる。 また、削除された「ご本人は私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました」との文章についてはどうか。総務省のサイトでは、「一般論としては、業者が主体的・裁量的に選挙運動の企画立案を行う場合」に業者へ報酬を支払うと、買収となるおそれが高いとしている。 折田氏が主体的に企画立案したことを示していることにならないだろうか。 正木弁護士は、あくまで折田氏とメルチュ従業員が「規制対象である選挙運動員に当たるかどうかが重要」とし、実際の活動において「事務作業に留まらず広報全般を任せているなら、それは単なる事務員などではなく、選挙運動員に当たる可能性が高くなるように思います」とした。
報酬を受け取っていない場合の見解は
では、メルチュが斎藤氏から報酬を受け取っていない場合は問題があるのか。 正木弁護士は、「現行法では、株式会社merchuが一私人として行ったSNS運用やハッシュタグの拡散といったSNS戦略での選挙活動の手法を直接規制する規定はありません」という。 しかし、懸念点はあるという。「ウェブサイト等を利用する方法でインターネット上での文書図画の頒布を認める法律」(公職選挙法142条の3)で、頒布者の連絡先を表示させることが義務付けられていることを挙げる。「無責任な頒布を抑止し、反論の機会を確保するため」という。 「違反したからといって罰則はないのですが、ハッシュタグの利用などは、本条の趣旨に反して無責任な情報の拡散に利用される可能性があり、今後の規制も検討されるのではないでしょうか」