男女の賃金格差 非正規女性が多い飲食業、正規で賃金低めの金融業など異なる対策【国際女性デー】
■飲食業は女性の非正規が多い 金融は女性の非正規少ないが…
産業別に調べてみると、宿泊業、飲食サービス業では、女性の非正規労働者が非常に多い。女性の正規職員は少ないが、正規職員になった場合には、男性と賃金や役職の差が少ないということです。藤波さんは、こうした産業で男女の格差をなくしていくには、今、非正規で働いている女性を正規職員に転換することが必要ではないかと提案しています。 一方、金融・保険業や鉱業では非正規雇用の女性は少なく、多くの女性を正規職員として雇ってはいるが、男女の賃金や役職につく割合に差があるということです。こうした産業では正規職員の女性の賃金を引き上げる、役職に登用することを積極的にしていくことが重要だとなります。今回の分析では、全産業で一番理想型に近いのは情報通信業でした。非正規で働く割合は男女であまり差がなく、正規職員の中の賃金や役職の男女格差も小さめでした。藤波さんは「おそらく、今、情報通信業は日本の成長産業の一つとして積極的に女性採用に力を入れている、待遇も男女平等という形で積極的に採用している結果かなと思う」と述べています。 都道府県によってもジェンダー・ギャップにはばらつきがあり、東京都は賃金水準も正規雇用比率もギャップが少ないことがわかり、藤波さんは「こういったことも女性が地方から流出して東京などに流入する一因ではないか。地方の企業も雇用慣行を見直さない限り、女性の地域定着が難しい状況にある」と分析しました。そして全体としては、「ジェンダー・ギャップが大きいままでは、家計の所得を最大化するために、賃金がより高い男性が主に働き、女性は家事育児を主に担うという形をとることが多くなりがち。子育て環境を整える制度も必要だが、賃金や昇進などの男女格差を改善することが必要だ」と述べました。さらに「男性が長時間働くことを前提とした職場環境を見直すことも必要で、そうしたことによって、男女がともに家事・育児を担い、ともに経済を支える社会、より成熟した社会になることが求められている」と提言しています。