「女じゃ話にならん!」「この若造が!」と客に激昂されて… カスハラ被害に遭った若者世代が明かす“理不尽な扱い”
利用客からの暴言などに苦しめられる「カスハラ(カスタマーハラスメント)」。今年の「新語・流行語大賞」にもノミネートされるなど近年社会問題となっているが、目立つのは、やはり社会的に弱い立場となりやすい若年層へのカスハラだ。
労働市場などの調査・研究を行う大手シンクタンク・パーソル総合研究所が今年6月に発表した調査結果によれば、カスハラ被害者は男女共に若年層の比率が高く(20代男性21.1%、20代女性25.3%、30代男性25.7%、30代女性22.9%)、加害者は高齢層が多い(50代男性39.3%、50代女性20.1%、60代男性47.2%、60代女性25.9%)ことが明らかになっている。 若年層は一体どういったことで理不尽な扱いを受けるのか。カスハラに遭ったことのある人たちに話を聞いた。
「お前のような女じゃ話にならん!」と荒ぶる高齢者
メーカーに勤めるAさん(30代/女性)は20代の頃、会社のイベントで受付をしている時に高齢者からのカスハラ被害に遭ったという。 「イベントで渡すお土産に不備があったようで、60代ぐらいの男性がイライラして受付にやってきました。謝罪したうえ交換対応をすることになりましたが、『不快な思いをしたんだから2個よこせ!』『誠意が見えない!』などと声を荒らげ、怒りが収まらない様子でした。 そのままだと他のお客様の迷惑になるので、せめて場所を移そうと思ったら、突然『お前のような女じゃ話にならん! 上の人間をだせ!』と怒鳴られたのです」(Aさん) 入社して間もなかったAさんは恐怖でしかなかった。当時を振り返り、Aさんは「若いうえに女、というだけで文句を言われやすい対象として“あるある”のようです」と話す。
イケメン男性スタッフを狙う女性客が嫉妬?
今年6月、厚生労働省が運営するハラスメント対策のホームページでは、カスハラのうち、威張り散らす人の具体例として「社会的地位の高い人、高かった人、定年退職したシニア層などに傾向が見られる」という記載を、閲覧者からの抗議を受け、削除した経緯がある。同省は「特定の方がカスタマーハラスメントを起こすかのような誤解を生む表現があった」と説明しており、もちろん大多数のシニア層はカスハラなどせずに穏やかに暮らしているのだが……。 アルバイト時代を含め、10年近く都内の書店に勤めるBさん(20代/女性)は「50代とか60代以上のような上の世代は、圧倒的に“年齢が上”という態度を突きつけてくる」とその経験談を語る。 「シニア世代のお客様は、誰かに相手をしてもらう場として来店するケースも多いように思います。そのなかで週に3~4回来店される60代ぐらいの女性のお客様がいるのですが、その方にはお気に入りのイケメン男性スタッフがいて、いつも狙って接客してもらいにいくようでした。 彼は大学生なのですが、試験期間でしばらく休んでいたある日、その方からわざわざ電話で問い合わせがありました。最初は店頭在庫の確認だったのですが、途中から『〇〇さん(男性スタッフ)、次の出勤いつですか?』などとプライベートな話になり、『お答えできません』と丁寧にお断りをすると、突然『この若造が! 知ってるくせに!』『私だって昔は会社員で、組織の仕組みはわかってる!』などと意味不明にキレられました」(Bさん) 「声を荒らげるような人に見えなかったのに」と動揺したBさん。電話を店長に代わりうまくまとめたもらったものの、納得はいかない。 「店長からは、私が若くて、自分のお気に入りスタッフとも距離が近い感じなのが気に入らなかったのでは、と言われました。そんなところに嫉妬されても……。その一件以来、そのお客様が来ると店内に緊張が走るようになり、“店長案件”になりました」(Bさん)