「女じゃ話にならん!」「この若造が!」と客に激昂されて… カスハラ被害に遭った若者世代が明かす“理不尽な扱い”
「若造じゃ使い物にならん」と言われた20代医師の思い
整形外科医のCさん(40代/男性)は「30歳手前の頃、当時勤務していた総合病院で、70代の男性患者から『お前みたいな若造じゃ使い物にならん! ベテランを呼べ!』と激昂されたことがあります」と振り返る。 「症状の説明をしていた時のことです。確かに、ベテラン医師に比べればどうしても患者さんを診た数や、手術などの経験も多くはないですが、特に言葉に詰まるようなこともなく、丁寧な対応を心がけていたつもりでした。たとえベテランでも説明内容は変わらないのに、と驚きました」(Cさん) しかし、Cさんは「年齢を重ねたいま、患者さんからすると、担当の医者が若いと不安になる気持ちも分かります」と、かつて自分を怒鳴った男性に一定の理解も示す。 「患者さんにどこかで『技術不足かも』『場数を踏んでいないかも』と不安を与えてしまった自分の未熟さもあったのだと思います。その一件から“見た目”も大事だと思って、ヒゲを伸ばし、メガネもオシャレさを重視するのではなく細くてシンプルなものを選ぶなど、なるべく実年齢より上に見えるように工夫しました。筋トレもして、頼りなく見られない努力もしました」(Cさん) 若かりし頃に必死で考えた“再発防止策”を述懐するCさんも、今や下を指導する立場。「患者さんにも先輩たちからも、いろいろ言われて強くなってきた部分はある」としつつ、「自分は相手をただ否定するだけの言葉は言わないようにしている」とも話す。 「怒鳴ったりすることは論外ですが、もしも相手に『未熟だな』と思う部分があったら、どこをどうしたらもっとよくなるかを丁寧に説明するように心がけています」(Cさん) 東京都では、来年5月から「カスハラ防止条例」が施行される。サービスを受ける側、提供する側ともに居心地のよい社会になることを期待したい。(了)