パリ五輪初採用の「ブレイキン」、21歳のメダル候補SHIGEKIXが語る重圧 今秋、五輪出場懸かる世界選手権とアジア大会へ
来夏のパリ五輪で初採用されるブレイキン(ブレイクダンス)で、男子の半井重幸(ダンサー名・SHIGEKIX)はメダル候補として注目を集める。ストイックに踊りと向き合う21歳の第一人者が感じている重圧や心構え、五輪の出場権獲得が懸かる秋の世界選手権と杭州アジア大会への意気込みを語った。(共同通信=大島優迪) ▽想定通りの1年前 ブレイキン男子は来年8月10日、パリ中心部の観光名所、コンコルド広場で行われる。DJが流す音楽に乗って即興で高速ステップや華麗な回転技を繰り出し、1対1のバトル形式で争う。3年前の2020年12月上旬、五輪の追加競技となった瞬間から、半井は金メダルを獲得することを想像して「カウントダウンして過ごしてきている」と言う。 「想定通り、1年前を迎えているっていう感覚。五輪に限らず、目標を掲げる際にはできる限り頭の中でイメージを膨らませる。想像なのか過去の記憶なのか、分からなくなるくらい鮮明に頭の中で思い描けるまでイメージを持っていくことを強く大事にしている」
物心がついた時から一人で思い巡らせて絵を描くことや、レゴブロックでオリジナルのキャラクターを考えて物語をつくることが好きで「想像する」習慣が染みついている。それがブレイキンとも結びついている。 「自分のムーブ(動き)やスタイルを磨くという作業一つもそうだし、イメージをして、自分の目標や思い描いている未来をより身近に感じられるものにしていくというのは今も変わらずですね」。8月には他の国内トップ選手とフランスを訪れ、さらにイメージを高めた。 ▽高まる期待 国際大会に一緒に出場する姉彩弥(AYANE)の影響で7歳から始めた。2018年のユース五輪で銅メダルを獲得し、20年には主要国際大会「レッドブルBC One」を史上最年少で制覇した。昨年の世界選手権でも2位に入り、周囲の期待は高まる。 今年2月、全日本選手権で3連覇を達成した後に「プレッシャーは365日、感じている」と率直に明かしていた。「もちろん僕も一人の人間。どれだけフィジカルや技術が重要な場面でも、土台にはメンタルが常に存在する。そこ(重圧)を乗り越えて、メンタルを整えないと実力も発揮できない」