福田正博氏「日本はW杯の舞台では“格下”だった」
決勝トーナメントの戦いが繰り広げられているサッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会。残念ながら日本はその舞台にはいない。攻撃的なサッカーを掲げながら、W杯という大舞台で「自分たちのサッカー」を十分には発揮できないまま、グループリーグで敗退してしまった。日本はこれからどんなサッカーを目指して、どう戦うべきなのか。元日本代表のサッカー解説者、福田正博氏に聞いた。
福田氏は日本代表の3試合を総括して、結果だけではなく内容も伴わなかったのは「自分たちのサッカー」にとらわれすぎたことが原因だとみる。今回の日本代表は、これまでの代表よりも、世界のビッグクラブをはじめとした、いわゆる「海外組」の選手が多く、メディアの論調も含めて戦前の期待は高かった。しかし、世界のサッカーの中での日本の立ち位置を考えると、自分たちのプレーができない場合の準備が必要だったと指摘する。 「日本はW杯の舞台では“格下”だったということ。格下として格上のチームと戦うにあたって、どういう風に戦えば勝てるのか、をもう少し準備するべきだった。勝負は相手のことを知って、自分たちの力を知って、その上でどうやったら勝てるかを考えなくてはいけないが、『自分たちのサッカー』ができれば何でも勝てる、という考え方に陥ってしまっていたのではないか」。 福田氏は、ザック・ジャパンが掲げてきたサッカーがまったく発揮できなかったコートジボワール戦について、「相手を恐れてしまったからという見方もあるが、僕は逆に相手をもっとリスペクトするべきだったと思う」と違う見方をする。「相手は格上なので、恐れてはいけないけど、正しく彼らを警戒しなくてはいけなかった。過大評価でも過小評価でもいけないが、相手を『正しく知る』ということが行われていなかったと思う」。 ただ一方で、相手をリスペクトしすぎる傾向がある日本人を、ザッケローニ監督は変えたかったのではないかとも推察する。「どういう状況でも恐れることなく、『自分たちは力があるんだ』と。準備段階もどちらかというと、勝てる相手を選んで自信を深めさせて(W杯の)ピッチに立たせたという流れはあると思うし、そのやり方としては間違っていない」。ただ、あまりにもその方向が強すぎてしまい、自分たちの力を少し勘違いしてしまったのではないか、という。