若手が育っていないと感じる管理職は8割…過ごしてきた環境の違いが上司と若手のわかりあえなさを生んだに過ぎない事実
なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか#1
何かあればすぐに「パワハラ」と言われかねない会社や職場において、若手社員の育成はますます困難になっている。 【図を見る】職場で若手が十分に育っていないと感じる社員の多さに注目
『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか〝ゆるい職場〟時代の人材育成の科学』(日本経済新聞出版)より一部抜粋してお届けする。
「若手が十分に育っていないと感じる」管理職は8割
とある高名な経営コンサルタントの方がテレビの情報番組でこう話していて、聞き入ってしまった。 「いま、マネジャーは仕事ができる人になればなるほど、若手に直接何かを言ったりせず当たり障りのないことを言い、評価だけを下げるようになっています」 若手を育成する難易度やハードルが一段上がったように感じないだろうか。 若手育成に対する会社の要請が大きくなっていることは間違いない。とある人事担当向け調査では「管理職に期待していること」について最も選ばれた項目は「メンバーの育成」(42・7%)であった。以下、「業務改善」(26・7%)、「担当部署のコンプライアンス・勤怠管理の徹底」(23・3%)であった。 育成の要請が大きくなるなかで、難易度やハードルが上がる。その理由について、若者のキャリア観・仕事観の多極化、そして、環境の大きな変化を示した。そうしたなか、確かに多くの管理職が若手育成上の困難に直面していることが調査からも見えてきている。 大手企業の課長級管理職で20代の部下を直接評価している者に対して行った調査において、「若手が十分に育っていないと感じる」者は実に8割近く。そう感じる頻度別で図表に示したが、12・7%、8人に1人の管理職は「毎日のように」感じているのだ。 さらに、「このままでは職場の若手が離職してしまうと感じる」についても、そう感じている管理職は6割を超えている。毎日・毎週・毎月、ひしひしとそう感じながら若手と向き合っている。 若手が育っていない、若手が離職してしまう。「このままでは……」という育てる側の感情は、うまくいっていない職場だけが抱える問題ではなく、普遍的なものになりつつある。