イーサリアム現物ETFの需要、ビットコインETFよりはるかに低い:JPモルガン
米銀最大手のJPモルガン・チェースは、イーサリアム(ETH)現物ETF(上場投資信託)の需要は、さまざまな理由からビットコイン(BTC)現物ETFよりもかなり低くなると5月30日、リサーチ・レポートで述べた。 同行は、イーサリアム現物ETFは今年中に30億ドルの純流入を集めると予想している。ステーキングが許可されれば、資金流入は60億ドルに達する可能性があるという。 「ビットコインには先行者利益があり、現物ETFの承認を受けて暗号資産(仮想通貨)全体の需要が飽和する可能性がある」とニコラオス・パニギルツォグロウ(Nikolaos Panigirtzoglou)氏率いるアナリストはレポートに記した。 米証券取引委員会(SEC)が5月下旬、イーサリアム現物ETFを申請する取引所からの主要な提出書類を承認したことで、同ETFが米国で実現する可能性は高くなりつつある。ただし実現の前には、SECがS-1申請を承認する必要がある。ビットコイン現物ETFは、今年1月に取引を開始している。 レポートによると、4月のビットコイン半減期は、ビットコイン現物ETFの需要がさらに高まるきっかけとなったが、同じような要因で今後イーサリアムの需要が増加することはないという。また、承認されたイーサリアム現物ETFにはステーキングがないため、ステーキング利回りを提供するほかのプラットフォームと比べて魅力が薄いと同行は指摘した。 イーサリアムはアプリケーショントークンとして「ポートフォリオ・アロケーションで金と競合する幅広い魅力を持つビットコインとは投資家に対する価値提案が異なる」という。 同行は、イーサリアム現物ETFは、流動性が低く、運用資産残高(AUM)が小さくなるであろうことから、ビットコイン現物ETFよりも魅力に欠けるだろうと述べた。 イーサリアム現物ETFの上場に対する市場の初期反応は、ネガティブなものになることが予測される。その理由は、Grayscale Ethereum Trust(ETHE)がETFに転換されることを期待して購入した投機的な投資家が利益確定を行う可能性が高いからだ。レポートによると、ETHEでは10億ドルの資金流出が発生し、イーサリアム価格に下落圧力がかかる可能性があるという。 |翻訳:廣瀬優香|編集:CoinDesk JAPAN編集部|画像:Shutterstock|原文:Ether Spot ETFs to See Much Lower Demand Than Bitcoin Versions, JPMorgan Says
CoinDesk Japan 編集部