専業主婦でも遺族年金や寡婦年金が受け取れると聞いたのですが、「共働きは損」でしょうか?
寡婦年金
「寡婦年金」とは、国民年金第1号被保険者として10年以上保険料を納付した夫が死亡した場合に、その夫と10年以上継続して婚姻関係(事実上の婚姻関係を含む)にあり、死亡当時にその夫に生計を維持されていた60歳以上65歳未満の妻が老齢基礎年金を受給するまでの期間にもらえるものです。 年金額は、夫の第1号被保険者の期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3の額です。
老齢厚生年金と遺族厚生年金
公的年金では、支給事由(老齢、障害、遺族)が異なる2つ以上の年金を受けられるようになったときは、原則、いずれか1つの年金を選択することになります。 例えば、今まで遺族厚生年金を受給していた人が63歳になり、特別支給の老齢厚生年金を受給できるようになった際、遺族給付と老齢給付の2つをあせて受給することはできず、いずれかを選択することになります。 一方、65歳以上で老齢基礎年金を受けている人が、遺族厚生年金を受けられるようになったときは、あわせて受給することができます。それでは、65歳以上の遺族厚生年金と老齢厚生年金との関係はどうかいうと、ご自身の老齢厚生年金が優先されます。
【図表2】 A 遺族厚生年金>老齢厚生年金の場合は、老齢厚生年金+差額部分の遺族厚生年金 B 遺族厚生年金<老齢厚生年金の場合は、老齢厚生年金のみ(遺族厚生年金は全額支給停止) 図表2のように、Aの場合は、共働きで働いていた場合は、老齢厚生年金+差額部分の遺族厚生年金の組み合わせになります。 一方、専業主婦の場合は、すべてが遺族厚生年金になり、合計額は同じですが、遺族厚生年金が非課税なのに対して、老齢厚生年金は、課税されるので、実質的には、共働きの人のほうが支給される金額が少なくなります。
まとめ
夫が早くに亡くなった場合で考えると、共働きの人のほうが実質的に支給される金額が少なくなり、働き損のような気がしますが、夫が長生きした場合は、夫婦分を合わせた金額は、共働き夫婦の方が多くなります。 人生100年時代ということを考えると夫婦で健康で長生きすることを考えて、共働きで働いて少しでも年金額を増やすことを考えたほうがよいでしょう。 出典 日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額) 執筆者:篠原まなみ 1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者
ファイナンシャルフィールド編集部