専業主婦でも遺族年金や寡婦年金が受け取れると聞いたのですが、「共働きは損」でしょうか?
共働きのAさん夫婦。友だちから「専業主婦でも遺族年金や寡婦年金が受け取れるよ」と聞き、共働きのほうが損をするのではと気になったそうです。 “会社員+専業主婦”と“会社員共働き”では、夫婦の年金総額は変わるのでしょうか?
遺族年金とは
遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった人が亡くなったときに、その人に生計を維持されていた遺族が受け取れる年金です。 「生計を維持されていた」の要件は、原則、次の要件を満たす必要がありますので、相談者のAさんの配偶者が仮に亡くなった場合、Aさんの前年の収入が850万円以上であれば遺族年金を受け取ることはできません。 1.生計を同じくしていること(同居していること。別居していても、仕送りをしている、健康保険の扶養親族である等の事項があれば認められます) 2.収入要件を満たしていること(前年の収入が850万円未満であること。または所得が655万5000円未満であること注1) 遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。遺族は、亡くなった人の年金の加入状況によって「遺族基礎年金」のみ、あるいは「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」両方を受け取ることができます。 「遺族基礎年金」は、国民年金や厚生年金に加入している人(加入していた人)が亡くなった時に、「子のある配偶者」または「子※」に支給されます注2。遺族基礎年金の年金額は、一律の額となります(毎年度決定されます)。 また、子の人数に応じて加算がされます。一方、「遺族厚生年金」は、厚生年金に加入している人(加入していた人)が亡くなった時に、図表1の優先順位で遺族に支給されます。
【図表1】 遺族厚生年金の年金額は、亡くなった人の厚生年金の加入期間や報酬の額を基に計算されます。 ■亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4=(A+B)×3/4 A:平成15年3月以前の加入期間 平均標準報酬月額 × 7.125/1000×平成15年3月までの加入期間の月数 B: 平成15年4月以降の加入期間 平均標準報酬月額 × 5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間の月数 (※) 子あるいは孫とは18歳になった年度の3月31日までの人、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人をさします。 (注1) 前年の収入が850万円未満ですので、その後、収入が850万円以上になっても遺族年金が支給停止になることはありません。 (注2) 子のある配偶者が遺族基礎年金を受給している間や、子に生計を同じくしている父または母がいる間は、遺族基礎年金は子に支給されません。