ヤクルト・川端慎吾インタビュー “想い”を背負って【ファンに愛されし男たち】
代打の切り札
代打で立つ1日1打席のため、試合前から準備は怠らない
故障の影響で、全盛期のようにフル出場することは難しい。だが、代打での1打席にすべてを懸ける男は、代打打率.373と驚異的な勝負強さを見せてくれる。どん底からはい上がってきた“天才打者”に、ファンは惜しみない拍手を送る──。 ※年齢は2021年の満年齢。成績ほか情報は9月30日現在取材・構成=依田真衣子 写真=井田新輔、BBM ヤクルト一筋16年。秀逸なバットコントロールで“天才打者”の名をほしいままにした男は、2015年に首位打者、最多安打のタイトルを獲得し、リーグVに大きく貢献。正真正銘、チームの顔となった。しかし、17年以降は腰痛に苦しむことになる。手術、壮絶なリハビリ生活を乗り越え、今季、川端慎吾は代打の切り札として神宮に帰ってきた。 ◎ ──現在は新型コロナ禍で声を出すことはできませんが、ファンの方の後押しは感じますか。 川端 そりゃあもう、めちゃくちゃ感じますね。打席に入るときとかも、すごく大きな拍手をいただいたりとか。声は出せなくても、拍手の音はもちろん聞こえているので、すごく力になりますね。本当にありがたいです。 ──今季は得点機で打席に立つことも多いので、なおさらでしょうね。拍手の音で、プレッシャーが和らいだりすることもあるのですか。 川端 いやあ、得点機に代打で打席に立つプレッシャーは、ものすごいですよ(笑)。和らいだりはしないですけど、ファンの皆さんの応援を、力に変えられているのかなとは思います。まあ、さらに緊張はしてしまうんですけど(笑)。 ──高津臣吾監督も川端選手に絶大な信頼を置き、試合終盤の得点機で起用しています。打席に立つとき、監督からはどのように声を掛けられるのですか。 川端 行くときは……何か言われることはあまりないですね。「ここ行って!」くらいで(笑)。 ──信頼しているからこそ、多くを語る必要はないのですね。 川端 そうなんですかね(笑)。でもいいところで打ったりしたときは、わざわざ来てくれて「ナイスバッティング!」って言ってくれたりしますよ。代打で行くときは僕も集中していろいろ考えているので、それも考えてくれているのだと思います。 ──代打待機だと、集中力を保つのは難しいのではないですか。 川端 確かに、いつ出番が来るか分からないことが多いですからね。チャンスだったら行くよ、チャンスじゃなかったら行かないよ、という場面も多々あります。どこで出るか分からない、戦況を見ながらの準備になるので。 ──代打に立つとき、川端選手が心掛けていることは何ですか。 川端 たぶん、ほかの人とそんなに変わらないとは思うんですけど……。自分の出番が回ってきそうなときは、しっかり集中しておくことを心掛けています。あとはしっかり体を温めたり、しっかりバットを振ったり。相手ピッチャーのデータとかも全部頭に入れて、気持ちの整理をつけてから打席に入るようにしています。それと・・・
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週刊ベースボール