森崎ウィン(俳優・アーティスト)、北海道で自然と戯れる──Wilderness Philosopher編
旅の季節が今年もやってきた。クルマは、我々を見知らぬ土地へ誘う。かつての若きジェントルマンは旅を通し、見聞を広め、人生を豊かにしてきた。GQ JAPANはこの秋、千葉、丹波篠山、沖縄、北海道の新しい旅を提案する。クルマを相棒に、いざ、グランドツーリングへ。 【写真を見る】森崎ウィン、人生初のフライフィッシングにトライ!
旅するエンターテイナー
「年間で35,000km以上もの距離を車で走りました」地球一周が約40,000kmと記せば、森崎ウィンのグランドツーリングがどれだけ壮大か想像できる。俳優・アーティストとして活動し、今年は映画監督にも挑戦。去る6月のショートショートフィルムフェスティバル&アジア2024 では初監督作品「せん(SEN)」がジョージ・ルーカスアワード(グランプリ)を受賞した。 多忙を極めるエンターテイナーは、その移動をマイカーで行うことも多いと話す。 「運転は楽しい。東京から九州の舞台会場まで自走したことも」。ここ数年は、寸暇を惜しんでキャンプに没頭している。そんな森崎のライフスタイルからインスパイアされたネイチャートリップを求め、北海道・十勝帯広地方を訪ねた。
Wilderness Philosopher(中札内村)
森崎ウィンが目指したのは、国立公園に指定された日高山脈を源流とする札内川流域、中札内村にある釣りと旅をテーマにしたコンセプトコテージ「Wilderness Philosopher(ウィルダネス・フィロソファー)」。 このエリアには日本随一の渓流釣りスポットが点在する。アングラーから聖地といわれる場所での釣りをはじめ、トレイルハイキング、サイクリングなどのアクティビティを体験するハブとしての役割も果たす宿泊施設だ。 キャンプが趣味の森崎は、自然の中に身を置く時間に見出した無二の価値を改めて認識するために、この地を訪ねた。まずコテージ前にキャンプ用テーブルセットやコーヒーメーカーなどをしつらえ、その後、施設内にあるフィッシングギアが揃うショップ&レンタルスペースに寄ってからガイドとともに渓流へ。人生で初めてのフライフィッシングを体験する。フライフィッシングでは川に住む魚の種類や生態・環境をもとに擬似餌の毛針を選定する。頭脳と経験がものを言うインテリジェンススポーツだ。自然と対峙する時間にキャンプとの共通点を見出す。 「キャンプは癒やされに?と、よく質問されるけれど、とんでもない。あえて疲れるために行っています(笑)。大げさに言えば“サバイブ”を、しにいく感じ。自然の中で生活する不便さに、さまざまな気づきがあったんです」 北海道は何度も訪れたことがあると話すが“大自然”がある場所は初めてだった。「初のフライフィッシングだからキャスティングを練習したけれど、やはり手強い。そして自然の摂理を観察するアクティビティは難しくて楽しい。ハマったら危ない沼ですね(笑)。でも、趣味の部屋がキャンプ道具で溢れているのに釣りも趣味にしたら……。もう1部屋借りないと(笑)。これは50代まで我慢かな。本当はキャンプと釣りをセットにしたいけれど」。 煌びやかなショービズシーンに身を置きながら、対照的なプライベートタイムを森崎ウィンはなぜ両立させているのか?東京と自身の出身地ミャンマーのヤンゴンで生活してきたことに、その理由があるようだ。 PHOTOGRAPHS BY AKIRA YAMADA STYLED BY TADASHI MOCHIZUKI HAIR STYLED & MAKE-UP BY KENSHIN WORDS BY TOSHIKI EBE @ EBEWORK ILLUSTRATIONS BY KENJI OGURO