F1日本GPの光と影。3年ぶり観客数アップの鈴鹿は本当に成功だったのか?
30回目の記念大会となったF1日本GP(10月5日から7日・鈴鹿サーキット)が終わった。今年は3日間で延べ16万5000人が来場し、3年ぶりに前年の観客数を上回った。 今年の日本GPは初日から客足が好調だった。金曜日に昨年より5000人多い3万1000人を集めた鈴鹿には、土曜日になると雨にもかかわらず、昨年より1万人多い5万3000人が集結。そして、日曜日の観客数は昨年を1万3000人上回る8万1000人を記録した。 観客動員数が前年を上回った背景には、F1復帰4年目のシーズンとなったホンダへの期待が、昨年以上に大きくなっていたことが考えられる。 史上最低の観客数を記録した昨年の日本GPは、ホンダがマクラーレンとのパートナーシップを2017年限りで解消することを決定した後に開催された。このような状況でマクラーレン・ホンダを応援しようという声を、ホンダの100%子会社である鈴鹿サーキットを運営するモビリティランドも、そしてホンダ自身も声高にアピールすることはできなかった。 しかし、今年は新パートナーのトロロッソとの関係も良好で、かつ日本GP直前のロシアGPでは最新スペックのパワーユニットが鈴鹿に向けて投入され、いやがうえにも期待が高まっていた。 このスペック3を搭載したトロロッソ・ホンダは、予選で2台そろってQ3に進出する活躍を披露。ブレンドン・ハートレーが予選6位、チームメートのピエール・ガスリーも7位を獲得した。これは今シーズン最高の成績で、日曜日には復帰後初の地元鈴鹿でのダブル入賞も可能だという期待が高まった。 だが、レースでは予選6位のハートレーがスタートで出遅れて、大きく後退。7番手からスタートしたガスリーはスタート直前にFIAとパワーユニットの仕様変更に関してひと悶着あったことと、ピットストップ戦略が裏目となった影響もあって、本来の力を出しきれずに11位に終わった。 惜しくも入賞はできなかったトロロッソ・ホンダだが、ガスリーがレース後、「ファンからの声援は(フェラーリの)ベッテルよりも多かったかもしれない」と驚いていたように、昨年までの沈滞していた雰囲気は今年、ようやく吹き飛ばされたと言っていいだろう。