どうなってるんだ競馬界…道交法違反、傷害、金銭トラブル、セクハラなど不祥事が止まらない
中央、地方を問わず、競馬界の不祥事が相次いでいる。JRAや地方競馬組合は不祥事を起こした騎手に対し、騎乗停止処分にした。しかし、処分期間が明けた騎手は何事もなかったかのように、依頼があれば騎乗できてしまう。一般社会であれば刑法犯と言っていい事案の場合でも、だ。こうしたJRAと地方競馬組合に対し、馬主らからは「組織外部には厳しい一方で、身内には甘すぎる」との声があふれ出している。 最近の不祥事をざっと振り返っておく。 【JRA】 ▽松若風馬騎手が滋賀県草津市内を走行中に道交法違反容疑(酒気帯び運転および物損事故)で検挙=8月2日、騎乗停止処分 ▽角田大河騎手が函館競馬場の芝コースを車で走行し、損傷させた=8月2日、騎乗停止処分 ▽水沼元輝騎手が調整ルームにスマホを持ち込み=7月10日、9ヶ月間の騎乗停止処分 ▽池添謙一騎手、富田暁騎手が函館競馬場調整ルームでけんかとなり互いに粗暴な行為に及ぶ=6月28日、両騎手に騎乗停止処分 【地方競馬】 ▽佐賀のトップジョッキー山口勲騎手が道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで4月3日、福岡県警に逮捕された=佐賀競馬は当面の間、騎乗を見合わせることにした。その後、山口騎手は不起訴処分となったが、同騎手は騎乗を自粛。佐賀県競馬組合は同騎手を戒告処分に ▽大井競馬所属の7000勝ジョッキー的場文男騎手が施設内で騎手同士による金銭上のトラブルを起こした=東京シティ競馬は7月26日、4日間の騎乗停止処分 ▽地方通算5000勝を超える名古屋競馬所属のトップジョッキー岡部誠騎手が他の騎手への粗暴な行為やハラスメント行為、女性厩務員へのセクハラなど数々の不適切行為を理由に騎乗停止 ざっと振り返っただけでも、ジョッキーのモラルの低下は疑いようがない。
今、売り上げは好調の競馬界
コロナ禍以降も競馬界は順調売り上げが伸びており、ビッグレースの度に売り上げレコードを更新している。さらに近年は世界のレースでも日本馬は活躍しており、ジョッキーはタレント化し、世間からの関心度は非常に高い。 そんな中で相次ぐ不祥事。事案の中身を見ると、会社員ならクビになってもおかしくないものもあるだろう。しかし、主催者の処分は「騎乗停止」にとどまり、処分が明ければ何事もなかったかのように依頼があれば騎乗出来てしまう。時が経てば忘れ去られていくこともしばしばのことだ。 ここまで不祥事が立て続けに起きている以上、ジョッキーに対する研修が十分にできているのか、不祥事を未然に防ぐ措置を十分にしているのか……など主催者の管理責任にも目が向けられるべきではないか。 ある中央競馬の馬主は、競馬のおはなしの取材に対し、「コンプライアンスが厳しい今の世の中で、社会人として本当にこれでいいのか。ただ馬に乗ればいいわけじゃない。社会的な教育がなされていないのが露呈されていて主催者には疑問を感じる。そういうジョッキーには依頼できない」と話す。 競馬界には様々なハードルが設けられている。 馬主になるには年収や資産など非常に高いハードルがある。メディアに対しては他のスポーツでは考えられないような取材規制も敷いている。 別の馬主は競馬のおはなしの取材に対して「外部にはあれこれと厳しい規制をする一方で、相次ぐ騎手の不祥事には騎手に甘い処分を科すだけ。一般企業が不祥事を起こせばトップが責任をとることも多いが、JRAや地方競馬は主催者としての反省は微塵も感じられない。どうなっているんでしょうかね」と話した。
競馬のおはなし