なぜ富士通「Uvance」は生まれたのか サステナビリティに注力する強みに迫る
国際ルールメーカーとしての強み
――サステナビリティに向けた異業種連携として、ユーバンスや富士通ではどんな取り組みをしているのでしょうか。 WBCSD(持続可能な開発のための経済人会議)という、世界200社以上の経営者が集まり、新たなルールを策定する国際環境会議があるのですが、当社はその分科会でトランスポーテーション(交通)領域における脱炭素化の実証や、カーボンフットプリントを測る基準の策定や実証に、主導的に取り組んでいます。 国際的なルール作りとしては、他のことにも積極的に取り組んでいます。欧州起点で始まっているデータ流通の仕組みである「データスペース」の代表的な事例である、欧州自動車業界中心のCatena-X(カテナX)の枠組み検討にも日本企業として参画しています。 日本も同様の施策として、経済産業省が「ウラノス・エコシステム」(信頼性のある自由なデータ流通の実現に向け、複数のシステムを連携させ、企業・業界を横断したデータの利活用を促進することで、データ・システム・ビジネス連携を具体的に推進し、官民協調で企業・産業競争力強化を目指す)に取り組んでいます。当社はこのウラノスとカテナXをつなぐワーキンググループを主導しています。 ルールメイキングから事例を実際に作っていく部分にも、ユーバンスの事業部門が主体的に取り組んでいて、国際標準の面でも強みを強化しています。アジア地域では、こうした動きはまだまだこれからなので、今後の市場として期待しています。 ――DXの定義も各社さまざまです。DXについて富士通ではどのように捉えているのでしょうか。 D(デジタル)とX(トランスフォーメーション)のどちらが大事かという話はよくあります。この2つを分けて考えると、デジタル化すること(D)ではなく、トランスフォーメーション、変革すること(X)がDXの本質だと捉えています。例えばデジタルツール導入によるモダナイゼーションだけでは、DXとしては不十分です。 DXによって、企業価値も上げなければなりません。DXが進んでいない一般の企業だと、事業規模が大きくなることによって物質的な経費もかさばり、ビジネスが飽和して頭打ちになりがちです。この点、GAFAなどの企業が売り上げを指数関数的に伸ばせたのは、フィジカルに頼らない収益構造を生み出せたからです。このようにビジネスの構造を変えられるかどうかまでがDXだと、私は考えています。