抹茶を簡単に点てる驚きのコツ!「朝日焼」ワークショップでの感動体験
「簡単に、美味しく」お茶を点てれば、世界は変わる
「最初にこのワークショップのお話をいただいたとき、自分は朝日焼の人間だけれど、器について語るのではなく、むしろ『器を使うことで感じる豊かさ』を伝えたいと思いました。では、どうしたらその実感を持ってもらえるだろうと考えたとき、『そうだ、参加者の皆さんにお茶を点てていただこう』と閃(ひらめ)いたんです」 松林さん自身、日々茶道具を作っていることもあり、お茶とは切っても切れない日常を送ってきた。でも、お抹茶を点てることが日常的だったからこそ、とくに、「お茶が人生を豊かにしてくれている」と実感したことはなかった。それが、一昨年の春、新型コロナウィルスが世界的に感染拡大したタイミングで、「自分でお茶を点てて飲む。1日の中にそういう時間を持つことはなんて贅沢なんだ」と気付いたという。 「緊急事態宣言が発令されてから2カ月間は、工房には誰にも出勤させずに、自分1人だけで作業をしていました。自分自身の仕事がはかどらなかったわけではないですが、全く人に会わない時間は、とてもしんどかった。周りに、会話できる相手が誰もいなくて、家に帰れば陰鬱なニュースばかりが耳に入ってきて、気が滅入る。そんなときに、毎朝必ずお茶を点てる時間を作ってみたら、なんだか心が整うような気がして、『あ、お茶に救われている』と思ったんです。仕事を始める前にお茶を点てることで、じっくり器を眺めたり、今日は濃いめにしようか薄めにしようか考えたり、それを飲んで心から『美味しいな』と感じられたり。自分の時間に、それまでにはないような奥行きが生まれた。でも、自分以外の人に目を向けたときに、お茶を点てて飲むことはハードルが高いので、それをごく簡単な方法で楽しんでいただく意味は大きいのかな、と。ですから今回は、美味しく、簡単に、失敗なく、お茶を点てる方法をお伝えしようと思います」
リラックスしつつ、覚醒もできる「抹茶」は面白い
5月といえば、新茶の季節。「朝日焼」の工房がある宇治では、「新茶ができたよ」「今年の新茶の出来栄えはどうかな」などと、自分達の作ったお茶を分け合うなどして、街自体が華やぎを増していく時期だ。松林さんからは、実際に「美味しく簡単で失敗しない」お茶の点て方を実践する前に、お茶の効能についても簡単な説明が。 「お茶の効能その1は、まず、健康になることです。 血糖値の上昇を抑える茶カテキン、旨味や甘味、鎮静効果のあるテアニンなどが有名ですが、お抹茶の面白いところは、鎮静効果のあるテアニンと覚醒作用のあるカフェインのいいとこどりができることです。私も、よく寝る前に抹茶を飲むんですが、とくに眠れないことはありません。