阪神、高山の猛打賞にも金本監督は開幕スタメン内定出さず!その意図は?
阪神のドラフト1位の高山俊(22、明大)が16日、QVCマリンで行われたロッテとのオープン戦で先制タイムリーを含む3安打。守備の面でも好プレーでピンチを防ぎ開幕スタメン奪取を強烈にアピールした。だが、試合後の金本監督は「まだまだ最後の最後まで」と、“内定”を出さなかった。その真意はどこにあるのか。
ルーキーにして、もう職人技である。 地元千葉は船橋出身。その“凱旋ゲーム”に母と妹を招待した高山は、「6番・レフト」でスタメン出場、千葉ロッテで、先発5、6番手を争っているベテラン左腕、古谷拓哉(34)から、2回1死三塁の先制機に、外角低めカーブを芯で拾い、一塁線を破るタイムリー二塁打を放った。 それでも冷静に「犠牲フライでも1点が入るところだったので、もうちょっと高い球を狙ってボールを上に上げていたら良かった。難しいボールでファーストゴロとの紙一重の打球だったので」と、本来、この打席でもっておかねばならない意図を語った。高山の“野球IQ”の高さが十二分に伝わるコメントである 第二打席目は、4回2死走者無し。カウントを追い込まれ、インサイドのストレートで勝負されたが、今度は、バットの芯を外しながらも、技と振り切ったスイングスピードでレフト前へと打球をうまく運んだ。そして、6回一死一塁から巡ってきた第3打席。ストレートを引っ張って一、二塁間を綺麗にゴロで破る。率を稼ぐ打者特有の打球だ。オープン戦と言えど右へ左へプロ初の猛打賞を記録して、試合後はテレビカメラを前にインタビュー機会が設けられた。 元一流のバットマンとして見る金本監督の高山評が的を射ていた。 「(3本もヒットを)打っているときは、簡単に打っているように見えるね。2打席目は真芯じゃないだろうけど、ヒットにできるボールはヒットしますよ、という感じがある。タイミングが合っていたんでしょう。初球から振っていこうとすることが、しっかり振る、ぎりぎりで見逃すということにつながるし、バッターとして試合でやっていくための第一歩。まあオレは待つタイプだったけど、若いころはバンバンと(初球から)いっていて、初球によくフォークでやられたよ」 高山のアピールは打つだけではなかった。 6回二死満塁で、デスパイネがレフト線に引っ張った強烈なラインドライブのかかった打球に猛ダッシュから左手を伸ばしてランニングキャッチ。マートンなら間違いなく走者一掃となっている場面だった。 これでオープン戦9試合で31打数11安打2打点で打率.355。中日の開幕投手である左腕、大野雄大(27)を想定するような“仮想開幕投手”の古谷を攻略したことで開幕戦スタメンをぐっと引き寄せた。しかし、金本監督は、トラ番記者から、「もう開幕スタメンで?」と振られても「そうやね」とは答えなかった。 「オレの中では、まだまだ最後の最後までのつもりだけどね」 あえて内定、当確を出さなかったのである。