阪神、高山の猛打賞にも金本監督は開幕スタメン内定出さず!その意図は?
金本監督は阪神における監督の言葉の重さを十分に知っている。明るくジョークは飛ばし、時にはマスコミ向きのリップサービスも欠かさないが、肝心要の内向きの問題には軽率な発言を控えているように映る。 「最後の最後まで」と、内定、当確を高山に出さなかった理由は、その実力を疑っているわけではなく、ライトの福留孝介(38)を除く、センター、レフトのポジションを巡っての激しいレギュラー争いが続いているからだ。不用意な発言で、モチベーションを落としたくない。フラットに見ている金本監督の姿勢こそが、昨年までになかった“熱”をチームに内にもたらしているのだから。 この日は、「7番・センター」でスタメン出場した3年目の横田慎太郎(20)も猛打賞を記録した。「(高山に)負けたくない気持ちがある」と、目の前で高山がHマークを灯すと刺激を受け横田も続いた。8回には一死一塁からショート前に執念の内野安打。オープン戦の打率を.389と浮上させた。 代打の切り札、狩野恵輔(33)も6回一死一、二塁で代打をコールされるとレフト前ヒットで応えた。「誰かの調子が悪ければスタメン出場も十分にあるね。でも、どこで使うか……」と、試合後に金本監督は、悩ましい心境を吐露した。 途中、ライトの守りから入った大和(28)も7回二死から鈴木大地(26)の打球をダイビングキャッチ。8回先頭打者としてレフト前ヒットを放つなど猛アピール。さらにセンターの開幕スタメン候補としては、現在、2軍に落とされている江越大賀(22)が、“大穴”として一軍再昇格を狙っている。おそらく開幕時の外野の1軍枠は、多くて6人。福留、高山、大和、横田、緒方凌介(25)、俊介(28)、江越、狩野の中から2人が落ちることになる。この競争レベルが、激しければ激しいほど、超革命のチームパワーに変わる。 またレギュラー候補のレベルが上げれば、対戦相手や自軍の先発投手、選手の調子などを見ながら、あらゆるスタメンの組み合わせも可能になり、考えられる。 金本監督が、開幕スタメン決定をぎりぎりまで引っ張る狙いは、そこにあるのだろう。 その渦中にいるスタメン最有力候補の高山は、「これからも、ここからもアピールをしていきたい。打つ方だけでなく、セにはDHがないんですから、守備走塁も全部で」と、おごらず、前を向いていた。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)