【ラグビー】マオリ・オールブラックス来日。JAPAN XVには「勢い」を与えたくない。
2024年のマオリ・オールブラックスが来日した。 ニュージーランドの先住民、マオリにルーツを持つメンバーたちの連合軍だ。ラグビーと並行し、ゲームで披露するハカも訓練。移動のバスでは大声で歌う。 6月26日からのツアーの初日は、夜に宿泊先へついた。その場では、小学生たちにハカで歓迎してもらった。FW第3列のビリー・ハーモンは感謝する。 「まさかあんなにもたくさんの人たちが私たちを待っていてくれているなんて、想像していなかった。たくさんの子どもたちのハカには感激しました」 今回は、日本代表選手と同候補選手によって構成される「JAPAN XV」と2連戦をおこなう。東京・秩父宮ラグビー場での初戦を2日後に控えた27日、3名がオンラインで会見した。 出席者のひとりがハーモンだった。2021年、所属するハイランダーズで日本代表主将経験者の姫野和樹とプレー。昨夏は「All Blacks XV」としてこの国を訪れ、「JAPAN XV」および日本代表に連勝していた。 姫野が今回のシリーズに参加しないだけに、「姫野と対戦できないのは残念」とハーモン。直近の日本代表のプレーに「9番(SH)起点のわくわくするような動き」があると警戒し、こう意気込んだ。 「私たちは、ディフェンスをしっかりしないといけない」 同席するWTBのタナ・トゥハカライナは、チーフスのメンバーとして今年2月のクロスボーダーマッチに参戦。埼玉パナソニックワイルドナイツ、クボタスピアーズ船橋・東京ベイとぶつかっている。当時の感触について聞かれ、応じた。 「(クロスボーダーマッチは)ファンと触れ合うことも楽しく、いい時間でした。(次戦で)自分のプレーに集中したいです」 エディー・ジョーンズ新ヘッドコーチが率いる日本代表は、6月22日、東京・国立競技場でイングランド代表と対戦。17―52で敗れるも、目指す型の一端を示した。 その模様を踏まえてか、ロス・フィリッポヘッドコーチはこう展望する。 「(日本代表およびJAPAN XVは)いま、新しいコーチのもと新しいスタイルを身につけている。難しい時期にあるかもしれませんが、いずれ世界で戦える選手が増えそうな印象です。日本のチームは、流れのあるプレーをする。イングランド代表が苦しむ時間帯もあった。我々も、勢いを与えると危ないのではと警戒しています。我々も(JAPAN XVと)同じように、速い展開に持っていきたい。スペースを探し、スキルを持って、どんどん前進していく」 両国のラグビーユニオンは昨年、競技発展のための覚書を締結。代表チームやそれに準ずるグループの試合を積極的に組む流れを作った。 現在の遠征もその一環と映るなか、指揮官は「両チームにとってポジティブな活動。いままで開いていたようで開いていなかった扉が開いたような感じです。新たな関係性を築き、たくさんハイレベルな試合ができるのでは」とも話す。 (文:向 風見也)