「ランボルギーニ、大きな家、いい肉、吉田沙保里」藤波朱理が小学生時代に夢見た栄光「五輪で優勝、歴史に名を残す」
「パリ五輪・レスリング女子53キロ級・決勝」(8日、シャンドマルズ・アリーナ) 藤波朱理(20)=日体大=は、ジェペス・グスマン(エクアドル)と対戦。10-0でテクニカルスペリオリティ勝ちし、初出場で金メダルを獲得した。昨年の世界選手権では7失点を喫した相手に今回は圧倒的な強さを見せつけ、中学2年から続く公式戦連勝記録は137に更新。コーチを務める父・俊一さん(59)の元へ走り、思い切り抱きついた。 【写真】かわいい♡おさげでくりっくりお目目の4歳朱理ちゃん 大邸宅、ランボルギーニ、高級肉、そして、吉田沙保里-。藤波が小学生時代、チラシ広告の写真などを切り抜いてつくった作品には、当時の夢が示されている。その中央には「レスリング競技でオリンピックに出場し、優勝する。そして、歴史に名を残す」と記した。自分を奮い立たせるために、実家の部屋の壁に飾っていたものだ。 「素敵な家を建てて、高級車に乗って、おいしいものを食べて。そして吉田沙保里ちゃんみたいに強くなりたいっていうのが、子供ながらの成功者のイメージやったんでしょうね。面白いですよね。車なんか興味ないくせに」。母の千夏さん(56)は笑いながらも、幼い娘が本気で打ち立てた夢を懐かしそうに思い返していた。 父や兄の影響で4歳からレスリングを始めた。初めは試合のマットに上がるのも怖がって泣いていたが、負けるのが悔しくてのめり込んだ。小学3年生の時、12年ロンドン五輪を見てくぎ付けになった。日本代表の吉田沙保里、伊調馨が圧倒的な強さを示し、3連覇を達成した。特に吉田は同じ三重出身でもあり、「私も沙保里ちゃんみたいに強くなって、あの舞台に立ちたい」と憧れを強くした。 「おい。そこの藤波朱理。元気か。がんばってるか」。小学校の卒業文集では、12歳の藤波から未来の自分に向けたメッセージが書かれている。「伊調かおりさん、登坂えりさん、吉田さおりさんと友達か。『オリンピックで優勝すること』を追い続けているか」と問いかけ、最後には「しんどいと思うけど、あきらめるな藤波朱理。きっとあなたの未来は明るい」と鼓舞して締めくくっている。 20歳の藤波朱理は、幼少期から抱き続けてきた夢の舞台で圧倒的な強さを見せつけ、12歳の自分に応えてみせた。「そして、歴史に名を残すこと」。公式戦137連勝は継続中。壮大な夢はまだ始まったばかりだ。