英政府がZEV販売義務ルール見直しへ 業界は達成困難と悲鳴
Sachin Ravikumar [ロンドン 27日 ロイター] - 英政府は27日、自動車メーカーに対するゼロエミッション車(ZEV)販売義務化ルールを見直す方向で市中協議にかけると発表した。 現行ルールに基づくと各メーカーは今年、新車販売台数の最低22%相当の電気自動車(EV)生産が求められ、2030年にはこの比率が80%に高まる。しかし英自動車工業会(SMMT)によると、メーカー側の今年のEV生産比率は18.7%で、定められた目標に達しない公算が大きい。 EV需要が想定ほど伸びていないので、自動車業界はこのルール順守や値引きのために今年60億ポンド(76億ドル)もの負担が生じるほか、雇用や生産拠点としての英国の魅力が損なわれかねないと悲鳴を上げている。 実際欧米系メーカーのステランティスは26日、イングランド南部の商用車工場閉鎖計画を発表しており、実行されれば1000人余りが失業する恐れがある。米フォード・モーターも先週、英国内で800人を削減する方針を打ち出した。 レイノルズ・ビジネス貿易相は、ステランティスが工場閉鎖を決める前の政府との協議で、ZEV販売義務化ルールを重要な問題として取り上げたと説明。ガソリン車の全面販売禁止時期を2030年から35年に先送りしながら、ZEV販売義務化ルールをそのまま維持した前保守党政権の対応を批判した。 現在の労働党政権は、ガソリン車とディーゼル車の新車販売を全面禁止する時期を30年に戻すと公約している。