災害時にいのちと暮らしを守る「コンビニ」 3.11の教訓が生きる非常時の防災マニュアル #知り続ける
13年前の東日本大震災を機にコンビニチェーンでは、防災マニュアル・防災対応が見直され、その取り組みは今なお続いている。今年の元旦に発生した能登半島地震においても、被災エリアで多くの店舗が迅速に営業再開となった背景には、これらの備えが効果を発揮している。災害発生時、コンビニチェーンの舞台裏では何が行われているのか。ローソンに話を聞いた。 【画像】東日本大震災、ローソン営業再開までの記録写真
■“指揮系統は本社から”は時間のロス 「被災地で何をすべきか現場が一番分かっている」
今年1月1日16時10分、正月特有の祝いムードが漂う日本列島に文字通り激震が走った。今なお復興が続く「能登半島地震」だ。発災の知らせを受けたローソンでは、即座にローソン中部カンパニーと東京本社に対策本部を設置した。 「大きな災害が起こった際、弊社ではまず被災エリアを管轄する現地と東京本社に対策本部を設置します。主導するのは被災エリアの対策本部。これは東日本大震災を経験し大きく変わったことのひとつです」(ローソン専務執行役員・郷内正勝さん/以下同) 通常、多くの指揮系統は本社から現場へと向かう。しかし、圧倒的な脅威で襲い掛かる災害時において、それは「時間のロスでしかない」という。 「本社から指示をだすには現場の状況把握から始めなければいけません。大混乱の現場に倒壊や損傷状況の確認など何かを頼む、それ自体が更なる混乱を招きます。被災地で何をすべきか、それは現場が最もよくわかっています。東日本大震災で本社の対策本部はすぐに現地主導で動くべき、と判断し、現場からの要請を受けて本社がそれに従いサポート体制を作っていく形をとりました。迅速な対応を実現するため、主体はあくまでも“現場”です。それを大前提にしています」 対策本部設置後に行うのは被災エリアのオーナー、クルー、社員の安否確認だ。能登半島地震では地震発生の翌日には、すべてのクルーの安否が確認できた。次に着手するのが営業再開に向けた具体的な取り組み、店舗建物の状況確認、物資供給・応援部隊の派遣となる。 対策本部の設置から物資供給・応援部隊の派遣まで、今回は今までにないくらい迅速な対応ができたという。 「リモート環境が日常化し、これまで本社に集合するなどで時間のロスが生じていた部分が大幅に削減できました。現地と本社がリアルタイムでつながり、これによって現地では何が起こっているのか、何が必要なのかが本社にもいち早く伝達されました。本社はそれに対応して必要な救援物資について全国から調達することができました」