自民総裁選で注目された選択的夫婦別姓制度が公約で後回しになる理由 ジェンダー平等は争点化されにくい?各党の主張を読むポイントを聞く【衆院選2024】
自民党総裁選で、小泉進次郎氏と河野太郎氏、何より首相になった石破茂氏も導入に前向きな姿勢を見せ、争点の一つにもなった「選択的夫婦別姓制度」。だが総裁選後、石破首相は一転して「家族の在り方の根幹に関わる問題だ。国民各層の意見や国会における議論の動向を踏まえ、必要な検討を行っていく」と発言を後退させた。10月27日に投開票が行われる衆院選では、選択的夫婦別姓制度がさまざまな公約の中に埋もれ、後回しになってしまっている気がする。 【総裁選】夫婦別姓、賛否分かれる 小泉氏は意欲、慎重見解も 9月
各党は公約の中で、この制度にどんな態度を示しているのか。さらに、ジェンダー平等分野の政策が一体どのように盛り込まれているのだろうか。 ジェンダー平等を巡る問題に詳しいジャーナリストの浜田敬子さん、地方に暮らす女子高校生が難関大を目指さない実態を調査し、改善に向け取り組んできた東京大4年の江森百花さん、東京都知事選などで候補者に政策についてのインタビューをしてきた明治学院大4年の中村眞大さんに目を通してもらった。それぞれに着目したポイントを聞いてみた。(共同通信=前山千尋) ▽ジェンダー政策は本来社会に大きなインパクトのある課題 ジャーナリストの浜田敬子さん まず各党の公約を比較すると、公明党が女性政策に割いている分量、政策が具体的な点で、かなりこの分野に精通した議員がいると感じました。 例えば、男女間の賃金格差の是正と「見える化」。自民党の公約にも入っていますが、具体的にどう実現するかには触れていません。是正は、現状の可視化から始まります。公明党は賃金格差の実態の「見える化」を、現在公表が義務化されている301人以上の事業者から、101人以上300人以下の事業者にも拡大することを盛り込んでいます。 また全国各地にあるジェンダー平等社会を実現していくための施設「男女共同参画センター」の法定化と機能強化にも注目しました。私も各地のセンターで講演を依頼されることがありますが、働いている職員のうち非正規雇用の方も一定数いる。機能を強化することで専門性のある人を正職員にしてほしいです。