温泉×登山!渓谷の秘湯に泊まって目指す山百2座|アウトドアショップ「エルク」が案内!山梨百名山の楽しみ方#15
道の駅たばやまから飛竜山
やって来たのは「道の駅たばやま」。雲取山は3都県それぞれに登山口がありますが、道の駅たばやまから登るルートをとれば、飛竜山とお目当ての三条の湯に寄りやすくなります。宿泊する三条の湯までは補給スポット、トイレがないので、ここでしっかりと準備をしてから向かいます。 道の駅から道路を歩いていき、村役場を越えてすぐに登山口の標識があります。ここからまずはサオラ(サヲウラ)峠を目指し歩いていきますが、山道に入っていくにつれて、どんどん斜度が上がり急登が続きます。 丹波山バス停からサオラ峠までがコースタイムで3時間、結構タフでしたね~。個人的には、この区間が最初の関門であり、この山の核心かも。 サオラ峠は分岐になっていて、帰りに三条の湯からこの場所に帰ってきますが、まずは飛竜山の標識が差す方向へと進んでいきます。サオラ峠から飛竜山までの顕著なピークは熊倉山と前飛竜山になりますが、前飛竜山の手前で、ようやく展望が得られる岩場がでてきます。 露岩の上に立てば展望が開け、山が奥まで連なっているのがよくわかります。長い樹林帯メインの山で、ここが唯一の展望地。男心くすぐるかっこいいイメージの山名ですが、正直地味な山といえるでしょう。それでも新緑の時期に登り、尾根沿いにはツツジの花も咲いていたので、楽しんで登ることができました。 前飛竜のピーク、そして飛竜山の名前の由来となった飛竜権現を越えれば、ここから奥秩父主脈の縦走路を歩いていきます。ここまで8km以上歩き、標高差1、400m以上登っているので、最後の登りは足が重くタフに感じますが、この日の行程最後のピーク、飛竜山まであと少しです。 飛竜山(2077m)に到着です! うれしさのあまり標柱に抱きついてしまいました(笑)。山頂は広いものの、展望のきかない樹林の中にあるので、休憩はほどほどに次の目的地に進みます。
三条の湯
山頂を後にすれば、もう温泉のことで頭がいっぱいです(笑)。三条の湯へ向かうために奥秩父主脈縦走路を進み、「北天のタル」という分岐から三条の湯へ一気に標高を落とします。奥秩父主脈縦走路は雲取山にもつながっていますが、飛竜山から雲取山は6km以上あり、サクッと行ける距離ではありません。 奥秩父主脈縦走路に出ると、山の斜面に付けられた綺麗なシングルトラックが続きます。ちなみに飛竜山、雲取山は東京都水道局の水道水源林。水道水源林の手入れっぷりは素晴らしく、「やっぱ東京とは違うな~」といつも感心しています。 縦走路から三条の湯へ一気に下りてきました! 飛竜山から標高差約900mも下りて、たどり着いた三条の湯。山小屋でありながら、この山域唯一の温泉宿です。 宿の受付を済ませば、楽しみにしていた温泉へ! 温泉は約PH10でアルカリ性のトロっとした泉質。心地いいくらいの硫黄のほのかな香りもまた良し。源泉は冷たいのでボイラーで沸かしているようです。ちなみに石鹸やシャンプーなどの使用は禁止されています。 20分ほどの入浴で体の芯まですっかり温まり、ハンモックに揺られながら風呂後のビールで乾杯! テラスからは深く青々しい森の景色、聞こえるのは沢を流れる水の音と鳥のさえずり。ここまで歩いてきた甲斐がありました。 夕食のメインは自家製ローストポーク、そして季節の野菜や山菜がふんだんに使われたプレートディナーになっています。山で野菜をしっかり食べられるのはうれしいですよね~。ご飯も炊きたてでおいしく、もちろんおかわりして今日の消費カロリーを補いました。 三条の湯は親子三代で受け継がれ、70余年の歴史ある山小屋とのこと。夏は北アルプスを中心に山小屋は予約合戦の様相を呈してきましたが、三条の湯はそんな喧騒とは一線を離れた、静かな70年を経てきたのではないでしょうか。温泉良し、料理良し、小屋番さんもすてきな方で、70年とは言わず100年以上続いてほしいすばらしい山小屋でした。