オレみたいになるな!9浪で早大合格の男が説く、大手塾に活路を求めて「しくじる多浪生」の末路
● 優秀層の授業料を減免し 下位層に払わせる!? そもそも大手のカリキュラムは、もともと成績が良く、自分の足りない部分が明確にわかっている受験生が、実力をさらに伸ばせる作りになっています。成績があまり良くない人を「逆転合格」させる仕組みにはなっていません。 例えば「早慶コース」は、早稲田大学・慶応義塾大学の入試で出題される、高難易度の問題を解くことに特化したコースです。 ここに、基礎がほぼ完成していて、入試に必要な科目の偏差値が「60程度」の生徒が入るとどうなるでしょうか。難しい問題の解法や思考プロセスなどを十分に理解し、非常に実り多い時間となるはずです。学力を伸ばし、早慶の合格ラインとされる「偏差値65」に到達できるでしょう(※)。 (※本稿での偏差値は旺文社の数値を基準としています。以下同) その一方で、基礎が身についていない「偏差値50」の生徒が同じコースに入っても、身の丈に合わない授業内容ばかりでついていけず、効率の悪い勉強時間を過ごすことになりかねません。 難関大学の対策コースを「選抜制」にしている大手も多いですが、あまりにハードルを上げると生徒が集まらず、ビジネスとして成り立たなくなるため、足切りラインはそこまで高くありません。結果、同じコースに「優秀層」と「そうでない層(逆転合格を狙う層)」が混在することになります。 そして、多くの大手は優秀層を優遇します。入塾時の成績がよかった現役生はもちろんのこと、有名進学校に通っていて、難関大学合格まで「あと一歩」だった浪人生の授業料を減額しているところも珍しくありません。そうした生徒たちが難関大学に合格したら、「東大合格者○○名!」「京大合格者○○名!」といった形で、集客のための宣伝に生かせるからです。 では塾・予備校側が、その減額した授業料をどこで回収するのかというと、偏差値の低い「逆転合格を狙う層」です。もともとの学力に課題があり、自分の何がダメかも分からないのに、「とりあえず大手の早慶コースに入れば合格できる!」と信じて集まってくる層はカモにされがちな構造なのです。 とはいえ、大手はコースやクラスが豊富で授業数も多いので、「自分に身の丈に合ったものを受講すれば良いのでは」という意見もあるはずです。しかし、そこは夢見る受験生。意地から自分の志望校を下げられずに、自分のレベルよりはるか上のコースを選んでしまう事例もたびたび見られます。