居酒屋に「3ヶ月漬けレモンサワー」というドリンクがありました。これって”密造酒”に該当しますか?
近年のレモンサワー人気の上昇から、多くの居酒屋で焼酎にレモンを漬け込んで「自家製レモンサワー」として販売するケースが増えています。しかし、そこで気を付けたいのが「酒税法」です。 アルコールをゼロから発生させる自家製酒は取り締まりの対象ですが、すでにアルコールとして販売されているリキュールにフルーツを漬け込む場合はどうなのでしょうか。本記事では、自家製リキュールが酒税法でどのように扱われているのかについて解説します。 ▼夫婦2人で「6缶パック」のビールを1週間で消費! これって飲みすぎ? 健康のためにもやめるべき?
自家製リキュールは事前の申請が必要
結論として、既存のアルコール類にフルーツを漬け込んで新しい商品として売る場合、酒税法における例外措置として事前に申請すれば製造・販売が許されています。ただし、これには条件が課されており、基本的に飲食店や宿泊業を営む方にしか許されていません。 自家製リキュールの販売が許される条件は、以下の通りです。 ●酒税が課税済みかつアルコール度数が20度以上の蒸留酒を使う ●米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえもしくはでん粉またはこれらのこうじを混和していない ●ぶどうを混和していない ●アミノ酸、ビタミン類、核酸分解物、有機酸もしくはその塩類、無機塩類、色素、香料または酒類のかすを混和していない ●ほかの酒類を混和していない ●年間で1キロリットルを超えて蒸留酒を混和していない ●営業場内でのみ混和を行っている ●営業場内の飲用を目的として製造している 上記で記述している食品類は、含まれる糖分や酵素が新たにアルコールを生成する可能性があるため禁止されています。よって、アルコールの生成を促さないレモンや梅は使って問題ありません。 ■条件をクリアしなければ無許可製造・密造酒として処罰される 居酒屋で蒸留酒を使って、自家製レモンサワーを販売する場合は原則として問題ありませんが、以下のようなケースでは上記の条件を満たさず酒税法に抵触する可能性があります。 ●開始申告書を税務署に提出していない ●ワインや日本酒に食品を漬け込んで作っている(サングリアなど) ●製造したレモンサワーをパッケージングしてテイクアウト商品にしている ●自宅で作ったものを店内に持ち込んで販売している 上記のようなケースで酒税法に違反した場合、第54条によって10年以下の懲役または100万円以下の罰金が、第56条によって1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。 ■直前に作るカクテル類なら大丈夫な場合もある 酒類の混和に上記の条件が必要なら、お酒同士を混ぜて提供する「カクテル」は違法になってしまいます。しかし、酒税法第43条第10項において「消費の直前に混和して提供される酒類は混和とみなさない」とされているため、例外的にカクテルは許されています。 例えば、サングリアでも事前にワインにフルーツを漬け込まず、直前に混ぜて「サングリア風」にする分には問題ないのです。