<なでしこリーグ>INAC神戸 大量流出の理由とは
なでしこジャパンのエースストライカーとして活躍し、現在、チェルシー・レディース=英=でプレーする大儀見優季も、「世界で勝つためにはどうすればいいのか」と考え、2009年にドイツへ渡った。その後、アジア人として初の欧州CL制覇を成し遂げ、女子ブンデスリーガの得点王にも輝いた。大儀見が海外挑戦で得たものは計り知れない。 INACで背番号10をつけていたチ・ソヨンは、今シーズンはチェルシー・レディースで背番号10をつけることになり、大儀見とチームメイトになる。 一方、アメリカに移籍する選手にとってのメリットとは何か。アメリカは、これまでの国際大会での成績やメダルの数を考えても、名実ともに世界一の女子サッカー王国だ。リーグでは、ヨーロッパ移籍と同じように日本国内では、なかなか体験できないフィジカルの強いサッカーをすることになる。 加えて、アメリカは、新リーグ発足を機に、国内リーグの活性化を目指すサッカー協会が「国内リーグでプレーする選手から代表選手を選ぶ」との方針を示したため、各国のリーグでプレーしていたアメリカ代表選手たちが帰国を決断している。これによって、リーグは必然的にハイレベルな戦いの場となることが予想される。アメリカ国籍を持つゴーベル・ヤネズの移籍の決断はそういった経緯によるものだ。 アメリカ移籍のもう一つの理由が、シーズンの日程だ。アメリカのシーズンは3月から8月にかけて行われるため、シーズン終了後の9月に日本に帰国すれば、トップコンディションを保ちながらなでしこリーグでもプレーすることができる。結果的に、1シーズンに日米2カ国のリーグでプレーが可能となる。 川澄は、その点をうまく利用して「半年間のレンタル移籍」という新たな移籍モデルを示した。当然、体力的にはハードだが、それも、自らのプレースタイルをより進化させるために、川澄自身が導きだした方法と言える。川澄同様、ゴーベル・ヤネズも、アメリカのシーズン後には、再びINACでプレーすることが決まっている。