<なでしこリーグ>INAC神戸 大量流出の理由とは
前年度、2位に勝ち点14差を開ける圧倒的な強さでリーグ3連覇を達成し、リーグ以外にもなでしこリーグカップ2013、第35回皇后杯、そして国際女子サッカークラブ選手権2013で優勝し、国内4冠を達成した無敵の女王、INAC神戸レオネッサ。そのINACは2014年、新たな壁に直面することになった。
2014年シーズン、INACは6人の選手が移籍や退団などでチームを離れることになった。中でも、川澄奈穂美(シアトル・レインFC=米= ※8/31までのレンタル移籍)、近賀ゆかり(アーセナル・レディース=英=)、チ・ソヨン(チェルシー・レディース=英=)、ゴーベル・ヤネズ(シアトル・レインFC=米=※8/31までのレンタル移籍)は、昨シーズンのタイトル獲得へ牽引した主力メンバー。 昨シーズンの総得点「62」のうち、得点王のゴーベル・ヤネズが15得点、川澄が12得点、チ・ソヨンが6得点と半数以上のゴールを占めていた。また、彼女達のアシストによって生まれたゴールも多く、4人が一気に抜けてしまうことは、チームにとって大きな痛手であることは間違いない。 この大掛かりな移籍劇はなぜ起こったのか。実は、彼女達の選択は、海外でのプレー経験を求めたものだった。男子日本代表もそうであるように、ここ数年でなでしこジャパンも海外組が増えてきているが、川澄と近賀は、海外移籍の経験はない。なでしこジャパンで、中堅からベテランになりつつある彼女達が今、海外に移籍する理由には、自身のキャリアやプレースタイルの進化を求めていることが背景にあると言える。それは、チ・ソヨンやゴーベル・ヤネズにとっても共通しているだろう。 では、海外のクラブに移籍するメリットとは何か。ヨーロッパでのプレーを選択した選手にとっては、女子欧州チャンピオンズリーグ(欧州CL)に出場するチャンスを得る、ということが大きい。近賀が移籍するアーセナル・レディースも、この大会で毎年上位に進出する強豪だ。さらに、ドイツ代表やフランス代表など、世界トップクラスの選手達が多く在籍するリーグへの挑戦は、刺激的であり、日本ではなかなか体験できないスピードやパワーを日常的に体験できる。