<なでしこリーグ>INAC神戸 大量流出の理由とは
アメリカやヨーロッパのリーグにとっても、世界でもトップクラスの技術を誇る日本の選手は、魅力的に映るのだろう。海外移籍のパイオニアとも言える澤穂希が、1999年にアメリカに渡ってから15年。今では、なでしこジャパンの主力選手たちに、アメリカだけでなくヨーロッパからのオファーも多く来るようになった。 海外に挑戦する選手が増えたことで、クラブ間の交流や選手の往来のルートが作られ、女子サッカーの発展にも貢献している。しかし、才能豊かなタレントがどんどん海外に移籍してしまうのは、寂しいことでもある。日本女子サッカーの発展を願えばこそ、この「輸出」の流れが、いつか「輸入」に変わり、多くのスター選手がなでしこリーグでの挑戦を求めて来日する日がくることを願う。そのためにも、国内リーグの活性化、レベルアップ、環境整備はこれからも課題であり続ける。 今回の主力移籍に「大きな戦力ダウン」との声もあるが、裏を返せば、INAC3年目の京川舞、田中陽子、仲田歩夢や2年目の渡辺彩香や磯金みどりらにとっては、レギュラーポジションを掴むチャンスでもある。新指揮官となった前田浩二監督も、「これはピンチではなく、チャンス」と話す。「才能ある選手に実戦の経験を積ませ、ベテランと若手の融合を図り、チームを進化させる」こと。それは不可能なことではない。INACには、澤穂希をはじめ、日本を代表する選手達の背中を日常的に見てきた若い才能がいるのだから。 (文責・松原渓)