「首相秘書官」「首相補佐官」どう違う? “影の総理”評の大物も
●首相補佐官
首相秘書官とよく似た名前の役職として「内閣総理大臣補佐官(首相補佐官)」があります。秘書官と同じく、内閣官房の一員です。基本的には、与党の国会議員がその職に就きます。内閣法第19条に規定されていて、特定の政策の企画や立案に当たる仕事です。定数は5人です。首相補佐官は、首相直属のスタッフとしての色合いが強く、時の政権が取り組む重要な政策や外交防衛問題など高度に専門性の高い政策の立案にも携わります。 首相秘書官と首相補佐官。どちらの権限が大きいかは、なかなか難しいところです。補佐官が特定の政策立案のスタッフだとすれば、秘書官は省庁間の調整を含めたかなり広範な実務を担っている、まさに首相の秘書としての役割ということができるでしょう。したがって実質的な首相への影響力は首相秘書官の方が大きいと見る人もいます。しかしこれも、首相と秘書官、補佐官の関係性や、国会議員であるか官僚出身か、政治家としてのそれまでのキャリアや人柄などによって変わってくるものでもあります。
●官房長官
内閣官房長官は、内閣官房の長です。国会議員から選ばれ、閣僚の一員でもあります。「首相の女房役」と呼ばれることもあり、内閣官房の事務全般を取り仕切る役職です。組閣の際、最初に任命される点からも、その重要性が分かります。過去には、中曽根内閣での後藤田正晴氏、橋本龍太郎内閣の梶山静六氏、小渕恵三内閣の野中広務氏らのように“影の総理”と称される大物もいました。 主な役割としては、内閣のさまざまな案件について、行政の各部署、国会各会派(特に与党)との調整役のほか、内閣の取り扱う重要な事柄や、政府としての公式見解などを発表する「政府報道官」(スポークスマン)としての役割があります。第二次安倍内閣以降は、菅義偉(すが・よしひで)衆院議員がその職に就いています。官房長官経験者が後に首相になるケースも多くあります(鈴木善幸内閣の宮沢喜一氏、竹下登内閣での小渕恵三氏、小泉内閣での福田康夫氏ら)。 官房長官を補佐する役割としては、内閣官房副長官がいます。特別職国家公務員で、定数は3人です。慣例によって、政策担当として衆院議員と参院議員で2人、事務担当として事務次官経験者などのキャリア官僚から1人が任命されます。