「首相秘書官」「首相補佐官」どう違う? “影の総理”評の大物も
日本の行政トップは内閣総理大臣(首相)ですが、時に“影の総理”や“総理の懐刀”と呼ばれる人たちがいます。中曽根康弘内閣時代の後藤田正晴官房長官や小泉純一郎内閣での飯島勲首相秘書官らがその人です。 【写真】ニュースでよく聞く「政府」ってそもそも何? いま国会を揺るがしている森友学園や加計学園をめぐる問題でも「首相秘書官」「首相補佐官」が注目されています。国会質疑の中で、今井尚哉(たかや)首相秘書官や和泉洋人首相補佐官、最近では元首相秘書官の柳瀬唯夫氏がニュースで取り沙汰されています。 首相を支える官邸スタッフにはさまざまな役割の人たちがいます。それぞれどんな権限があって、どんな仕事をしているのでしょうか。
◇ 東京都千代田区永田町2丁目。国会議事堂の南西側、東京メトロ溜池山王駅のすぐそばにあり、外堀通りからよく見えるガラス張りの大きな建物が総理大臣官邸(首相官邸)です。 普段から厳重な警備がされている首相官邸は、首相が仕事をする上での拠点になっており、「内閣官房」という首相を支えるチームも仕事をしています(内閣官房自体は内閣府庁舎と官邸に置かれています)。つまり官邸は、日本の行政府が入っている建物で、行政府の象徴と言ってもいいでしょう。
●内閣官房と内閣府
よく似た名称の組織なので、混同されることが多いのが「内閣官房」と「内閣府」です。ともに首相主導の政治、内閣機能の強化の実現のために誕生し、組織改編されました。 内閣府は、2001年に総理府・沖縄開発庁、経済企画庁が統合して生まれました。内閣の重要な政策ごとに内閣官房を支えます。首相を補佐するというよりは、大臣で構成される内閣全体を支えるといった色合いが強いと言えるかもしれません。 これに対して内閣官房は、総合的な戦略を立案して、首相自身の政治的な決断やリーダーシップを助ける役割を担う組織です。トップはもちろん内閣官房長官です。 内閣官房は首相のブレーン的な役割、内閣府はその内閣官房の補佐と調整をする部署と考えるとイメージがしやすいかもしれません。今回は、主にこの内閣官房とその中の役職について見ていきます。