【オートバイエッセイRider's Story】鈴鹿8耐でGSX-Rが教えてくれた「理由は無くていい」
────────── GSX-R1000Rが教えてくれた ────────── 全てのモノ(コト)には理由がある、という言葉を耳にしたことがある。この作業の理由、この形の理由、そこが壊れる理由、ここにある理由、心地いい理由……。自分もそうだと思っていた。 だけど今は、理由がわからないモノがあっていいと思っている。 実際に、あっても、なくても。 短編小説を書きながら、なぜオートバイが楽しいのか、その理由を二十年かけて探してきた。だけど未だに、その明確な答えは見つかっていない。 今回レースを観戦して、そんな理由なんてわからないままでいいと思った。追求するのは馬鹿らしいと思うようになった。 楽しいものは楽しい。ただそれだけでいい。 理由のないモノがあっていい。 理由がわからなくてもいい。 理由なんて無くてもいい。 鈴鹿8時間耐久レースで、スズキGSXーR1000Rが教えてくれた。 出典:『オートバイエッセイ集Rider's Storyオートバイが教えてくれた』収録作 著:武田宗徳
武田宗徳