社名は「セブン‐イレブン・コーポレーション」に、セブン&アイが「コンビニ専業」で求められる覚悟
厳しい状況は7月に発表した第1四半期(3~5月期、海外は1~3月期)決算から変わらない。生活防衛意識を強める消費者の需要に対応できず、日米コンビニ事業が減益となった。井阪隆一社長は日米のコンビニの「対応力が弱っている」と分析する。 とくに深刻だったのは北米子会社のセブン‐イレブン・インクだ。ドルベースの営業利益は前年同期比26%減。7月公表の第1四半期(1~3月、同38%減)から減少幅は改善したものの、厳しい推移だった。
アメリカのコンビニは比較的所得が低い顧客が中心だ。厳しいインフレで「中間・低所得者層の消費意欲が減退。たばこ販売の縮小も影響した」(ジョセフ・デピントCEO)ことで、既存店の商品販売は低調だった。 粗利益の大部分を占めるガソリンについても、重要指標である「1ガロン当たりの粗利額」が前期比3%減と想定を下回ったことも痛手だった。 7月にスタン・レイノルズ社長は「第2四半期は価格転嫁を進めることで、プラス効果を期待している。コスト削減も並行し成長につなげる」とプレゼンしていたが、その説明からはギャップのある結果となった。
■株価を提案価格以上に引き上げられるか セブン‐イレブン・ジャパンも営業利益は同8%減の1276億円と減益に終わった。既存店は前年同期比0.2%減となり、増収傾向を維持している競合に比べて見劣りする。「質を重視したこともあり、とくに若年層で『セブンの商品は高い』という認識が広がった」(丸山好道CFO)という。 進捗を踏まえ、日米コンビニとも通期の業績見通しを減益計画へと修正。セブン&アイHDの通期の営業利益予想は5450億円(前期比2%増)から4030億円(同24%減)と、大幅な下方修正を余儀なくされた。
セブン&アイHDは8月までにカナダの同業大手、アリマンタシォン・クシュタールから法的拘束力のない初期的な買収提案を受けている。市場価格を上回る提案だが、セブン&アイは9月初旬、「(提案は)株主価値を著しく過小評価しており、賛同しかねる」旨の返答をしている。 その後、クシュタールから再提案がなされたこともわかっている。価格は1株18.19ドル(約2700円)とみられ、買収提案が伝わる前の株価の約1.5倍に相当する。