【衝撃の事実】精巣は「マイクロプラスチック」に侵されている、濃度は動物の2.7倍 米研究で判明
マイクロプラスチックは人体に影響する?
編集部: 今回の研究テーマとなったマイクロプラスチックが人体に与える影響について教えてください。 村上先生: マイクロプラスチックやナノプラスチックが人体に与える影響については、多くの研究が実施されています。消化管内のマイクロプラスチックやナノプラスチックが局所的な炎症反応や免疫反応、さらにはがんの発生に関係していることなどが既に示唆されています。また、2023年に発表されたハンガリーのデブレツェン大学らの研究グループが実施したものでは、ポリスチレンのマイクロプラスチックをマウスに経口投与した実験をおこなっています。その結果、投与した最も小さなサイズのプラスチックは投与してから2時間でマウスの脳内で検出されています。
研究グループが発表した内容への受け止めは?
編集部: アメリカのニューメキシコ大学らの研究グループによる発表への受け止めを教えてください。 村上先生: マイクロプラスチックが体内に取り込まれた際の組織内での悪影響については、既に様々なエビデンスが出てきています。例えば、マイクロプラスチックが各種臓器に取り込まれて組織障害を起こしたり、マイクロプラスチックに様々な内分泌かく乱化学物質が吸着することで、その化学物質による障害が起こったりします。 精巣でいえば、マイクロプラスチックのような化学物質の影響によって、造精機能に悪影響を及ぼす可能性があると考えられます。近年増えている男性の不妊の一因となっている可能性も否定できないでしょう。
編集部まとめ
アメリカのニューメキシコ大学らの研究グループは、「人間の精巣の中には、動物の精巣の約2.7倍のマイクロプラスチックが存在している」と発表しました。研究グループは「この問題については重点的に研究して、マイクロプラスチックが不妊や精巣がん、そのほかのがんの発生に何らかの影響を与えているのかどうかを確認する必要がある」と警戒感を露わにしています。
【この記事の監修医師】
村上 知彦 先生(薬院ひ尿器科医院) 長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科