維新・吉村新代表「三足のわらじ」で多難の船出 衆院選直後の代表選、国政で埋没 国民民主にお株奪われ
日本維新の会代表選で1日、新代表に「本命」とされた吉村洋文大阪府知事(49)が選ばれた。臨時国会ではさっそく2日から石破茂首相の所信表明演説を受けた各党の代表質問がスタート。衆院選後の埋没感が否めない中、吉村氏が重視する存在意義を示す上での試金石となる。主要政党で唯一、首長が代表を務める国政政党として結束し、目指す国家像や政策の旗印を打ち出せるか。多難の船出となりそうだ。 ■党内から焦りも 「決して大阪、大阪いうつもりはない。われわれは全国政党だ。全国の皆さんと一緒に古い自民党とぶつかっていく」 新代表選出後の臨時党大会で吉村氏はこう訴えた。 ただ衆院選直後に代表選を行った維新は、与党の衆院過半数割れに伴う複雑な政局で取り残された。2日から始まる代表質問は衆院選後初めて首相と対峙(たいじ)する機会だが、1日夜の時点で維新は登壇者も決まっていない。党内からも「魂のこもっていない代表質問になるのでは」と焦りの声が漏れる。 党の結束にも不安が残る。吉村氏は党三役に若手を起用する考えを表明した。代表を退任する馬場伸幸氏らは与野党に幅広い人脈を持つが、新執行部とは距離を置く意向だ。 地域政党「大阪維新の会」の代表でもある吉村氏は11月19日の代表選で、看板政策「大阪都構想」の新制度案を党内議論で1年以内にまとめることを掲げて再選した。 とはいえ、都構想の是非を問う住民投票は平成27年と令和2年に実施、いずれも反対多数で否決されている。 新たな都構想への挑戦に際し、吉村氏は住民の理解を得る「民主的なプロセスが必要」としており、ハードルは高い。都構想に反対してきた自民市議は「党内を統制するため、分かりやすい政策を掲げただけではないか」と懐疑的だ。 ■浮沈握る万博成否 さらに約4カ月半後には維新が誘致を主導した2025年大阪・関西万博の開幕が控える。吉村氏は地元知事であり、万博を運営する日本国際博覧会協会の副会長でもある。 万博の前売り券販売は目標の1400万枚に対し、約737万枚(11月27日時点)で機運醸成は道半ば。会場運営費の原資となる入場券収入に赤字が出れば公費負担は免れず、大型選挙で万博の成功を公約に掲げてきた維新の浮沈を左右しかねない。