「時代遅れ」のままになってない? イメージ刷新 で新たな顧客層を狙う3ブランドの事例
最大の課題は、時代遅れというブランドの印象を変えること
メンズウェアハウスとジョス・A・バンクス(Jos. A. Banks)を傘下に持つ紳士服持株会社テイラードブランズの最高ブランド責任者、マット・レピキー氏は、同社が克服しなければならなかった大きな課題の1つには、ブランドが商品自体にいたるまで古臭いと思われていたことがあったと語る。 「フォーカスグループに参加して、カルバン・クライン(Calvin Klein)のブルーのスリムフィットのスーツを見せた。すると、『スリムフィットのスーツを扱っているのか? 貴社の製品はボクシーなものばかりだと思っていた』というような反応がかえってきた。いや、そうではない、我々は(顧客から)着たいと思われる商品を取り扱っている」。 このような認識の変化は商品とマーケティングの両方を通じて生じるものだ。レピキー氏は、メンズウェアハウスはYouTubeやTikTokショートなどのチャネルでのチュートリアルに注力していると、オンラインで語っている。昨年、同社は広告パートナーを変えて、ユーモアのある軽めのコマーシャルを制作した。そのうちの1本には、結婚式から就職面接、ゴルフコースへと急ぐ男性がその合間にメンズウェアハウスに立ち寄っては新しい服を探す様子が描かれている。「消費者が当店に来られるさまざまな目的を示すために、間口を広げている」とレピキー氏は述べる。 メンズウェアハウスの新コマーシャル「When you look this good, you can do anything.」
新しいアイデンティティで成功した冷凍食品企業ミラ
ブランドに対するイメージに関する議論はレガシーブランドに限ったものではない。スタートアップ企業もビジネスニーズの変化に応じて新しいアイデンティティを確立する必要性に気づいている。 冷凍小籠包ブランドのミラ(Mìlà)は、D2Cからオムニチャネルへの拡大に伴い、パッケージとマーケティングに複数の変更を加えた。最初の卸売パートナーはコストコ(Costco)で、2023年半ばから発売が開始され、2023年10月にはターゲット(Target)の150店舗以上で取り扱われるようになった。 共同創業者のジェン・リャオ氏は、スーパーの買い物客に自社を改めて披露することができた主な方法の1つは、俳優のシム・リウとの提携だったと話す。リウ氏は自身のコンテンツでミラの小籠包を利用しており、ミラのキャンペーンの事実上のスポークスパーソンとなっている。また、ミラはターゲット(Target)での発売時には、現金20ドル(約3000円)が入った赤い封筒を用意し、店舗あたり1点の商品にテープで留めて進呈した。 俳優シム・リウが出演するミラのコマーシャル このリニューアルではフォントや写真、色などのパッケージング要素や、冷凍食品コーナー以外で自社を紹介するためのマーケティング戦略にも注力した。ラベルに英語と中国語の両方を記載するというような、同業他社のアドバイスに反する意図的な選択をしたこともあった。ほかの多くの冷凍食品ブランドも、包装に透明部分のカットアウトを加えて中身を見せたりはしているが、パッケージの色調は明るくはない。 リャオ氏は今後さらに変更を加える可能性があることは否定していない。「だが、いまはまだ展開に注力しており、これまで構築した多くの需要に対応している」と述べた。 [原文:How companies like QVC are reintroducing themselves to customers] Melissa Daniels(翻訳:ぬえよしこ、編集:戸田美子) Image by QVC
編集部