干ばつと大雨耐えた横手産ホップ 秋田6醸造所がクラフトビールに
国内有数のホップ産地である秋田県横手市で、夏に収穫されたフレッシュなホップを使用して仕込んだ、この時期ならではのクラフトビール「横手産ホップシリーズ2024」がお披露目された。醸造所関係者は「ホップの芳醇(ほうじゅん)な香りとさわやかな飲み心地を楽しんでもらいたい」としている。 地元の大雄ホップ農業協同組合の土田章之代表理事組合長によると、今年は5、6月に暑い日が続いて干ばつとなり、7月に入ってからは2回の記録的大雨に見舞われ、ほ場が湖のようになった。品質が心配されたものの、生産者の努力で収量は1割減にとどまり、非常に品質の良いホップができあがったという。 「横手産ホップシリーズ」は2020年に始まり、今回が第6弾。県内の6醸造所が、収穫後のこの時期にだけ使える生ホップや1次乾燥しただけのフレッシュホップを使用して、華やかな香りが特徴のIPA(インディアペールエール)やリンゴを発酵させるハードサイダーなどの6種類を仕込んだ。県内のスーパーなどで330ミリリットル瓶や360ミリリットル缶を税込み600~900円の価格帯で販売している。 横手市大雄地区(旧大雄村)では、1971(昭和46)年に減反政策に伴う転作作物としてホップ栽培が開始され、最盛期の87年には123トンの生産量を誇った。市町村別生産量では2022年度に日本一になるなど全国有数の産地だが、栽培面積や生産者数は年々減少している。 ホップ生産者や醸造所などで作る民間組織「YOKOTE HOPPERS」の首藤郷代表は「ホップの国内自給率は5%未満で、国産ホップの希少価値は高まっている」とし、「日ごろからの情報交換を踏まえ、それぞれの醸造所には横手産ホップの独特な風味を最大限に引き出すような醸造をしてもらった」と生産者と醸造所のコラボレーションをPRした。【高橋宗男】