コロナ禍で「Amazonが最も成長した」「ECが成長した」の真偽は? 米EC専門誌が解説するグローバルECの実態
トップ1000社の第1位はAmazon。コロナ禍期間中も好調で、2019年~2023年の5年間のCAGRは17.8%となりました。しかし、実店舗型の小売チェーンのCAGRはAmazonよりもさらに高く、19.2%です。
トップ1000社の米国EC市場に占めるシェアは、2019年は31.8%でしたが、2023年には34.0%に増加しました。Amazonの流通総額のシェアは2019年の38.0%から2023年には38.7%に増加しましたが、その増加率はトップ1000社全体と比べると緩やかでした。 Amazonの流通総額のシェアは2023年、グローバルEC市場の7.4%を占めました。しかし、この流通総額には、Amazonが事実上撤退した中国での流通総額2兆1700億ドルが含まれています。中国を除くと、AmazonはグローバルのEC市場の12.2%を占めており、中国を除くあらゆる国や地域でのAmazonの優位性をより正確に示しています。 コロナ禍期間中のAmazonや他の小売事業者の成長率 パンデミック中に失脚した企業のなかには、Amazon以外のEC専業の上位1000社の小売事業者416社が含まれています。上位1000社の売上高に占めるこれらの企業のシェアは、2019年の11.8%から2023年には10.3%に減少しました。 ■ コロナ禍で食品スーパーのEC利用が拡大 主に実店舗で小売業を展開する事業者の、オンライン販路が大きく成長しています。その理由は、パンデミック中にECで食料品を購入する人が急増したことです。 食品・飲料部門は、2019年から2023年にかけて26.0%という最も高い年間成長率を記録しました。自社の売上高に占めるECの割合を、2019年の5.3%から2023年には10.5%に増加させた米大手スーパーマーケットチェーンのクローガー、EC化率を2019年の7.6%から2023年には15.4%に増加させたウォルマートなどに恩恵をもたらしました。 ■ レポートから読み解くコロナ禍のポイント 『Digital Commerce 360』が発表した2024年版「全米EC事業トップ1000社/トップ500社レポート」から読み取れる、主なトピックスは次の通りです。 ●上位1000社の小売事業者のコンバージョン率は、2022年の約2.8%から2023年には2.6%強に低下しました。それでも、コロナ禍前にあたる2019年の2.2%は上回っています。 ●2023年、トップ1000サイトに訪問した顧客のうち、55歳以上の顧客が占める割合は18.4%で、2022年の21.8%から減少しました。 ・2023年にコロナ禍のパンデミックが緩和するにつれて、高齢の消費者が実店舗での買い物に戻った可能性が特に高いことを示唆しています。 ●大手の小売事業者は、小規模の事業者よりもモバイルアプリを配信するケースが多く、アプリを配信する企業はオムニチャネルでサービスを提供するようになる可能性が高くなります。 ・アプリを導入している、実店舗型の小売事業者のうち、オンラインで注文した商品を店舗の駐車場で受け取る「カーブサイドピックアップ」を提供した割合は2023年に33.0%だったのに対し、アプリを導入していない店舗運営者は13.5%でした。 ・アプリを導入している、実店舗型の小売事業者のうち、オンライン注文の店頭受け取りサービスを提供したのは87.0%であるのに対し、アプリを導入していない店舗運営者は50.4%でした。 ●上位1000社は2023年にグローバルのEC売上高の19.2%を占め、前年横ばいでした。Amazon単独では2023年に世界の電子小売の7.4%を占め、2022年の7.2%から増加しています。