食品ロス削減家電が進化…ミキサーは果物や野菜を丸ごと粉砕、冷蔵庫は鮮度・期限でレシピ提案
食べ残しや賞味期限切れなど、まだ食べられるのに捨てられる「フードロス(食品廃棄)」の削減につながる家電が注目を集めている。食材を丸ごと調理したり、使い忘れを防いだり、無駄なく使える機能が充実し、使い勝手も高まっている。(松本裕平、高市由希帆) パナソニックが発売したAIカメラ搭載の冷蔵庫。食材を出し入れする際、上部に設置したカメラが記録し、自動で食材を識別する
種にも対応
タイガー魔法瓶(大阪府門真市)は23日、果物や野菜を丸ごと粉砕できる高機能ミキサー「タイガーエッジ」(市場想定価格税込み4万9800円)を発売する。刃の設置角度を従来の水平から、45度に見直し、切削力やかくはん力を向上させた。冷凍した果物や余った葉物野菜なども細かく切らずに、なめらかなスムージーに仕上げられるという。
同社はこの機種とは別に、カボチャの種やアボカドの種も砕くことができるパワフル型の「タイガーシックスバリュープラス」(同1万7800円)も展開。公式サイトでは「フードロス対応レシピ」として、「種までまるごとかぼちゃのスープ」などを紹介する取り組みも進めている。
調理の際、必要以上に取り除いた野菜の葉や果物の皮などは、食品ロスの原因の一つとなる。ミキサーを担当する井上友見さんは「食材を細かく切る手間をなくすことは、素材を無駄なく使うことにつながる」と効果をアピールする。
AI活用
食材の有効活用に向けた機能も強化が進む。 パナソニックが5月に発売した冷蔵庫(同34万円前後から)は、上部のカメラで野菜室の開閉時に内部を撮影し、AI(人工知能)が早く消費した方がいい野菜をリスト化する。おすすめレシピを添え、利用者のスマートフォンに知らせる。
シャープが3月以降、順次、発売した冷蔵庫(同39万円前後から)は、従来より奥行きを7センチ程度狭め、庫内を見えやすくした。アプリを使い、期限がきた食材を使ったレシピを冷蔵庫が音声で提案する。レシピを同社製の自動調理鍋と連携する機能もあり、余り物の活用を手助けする。
果物や肉などを乾燥させ長期保存ができるフードドライヤー(食品乾燥機)のニーズも高まっており、「今後、キッチン家電では、フードロス対応が購入の判断材料の一つになる」(大手家電量販店)という。