米大統領選2016(下)予備選は“歴史的”接戦? オバマ政権とは何だったか
現在、アメリカ国民はかつてないほどの政治不信の状態にあります。大統領の支持率は4割前後ですが、連邦議会の支持率は10%前半と史上最低水準です。「政治的分極化」で、共和党と民主党の合意が難しく、ここ数年でまとまった重要な政策はほんの少ししかありません。オバマ政権発足以来、株価や失業率は確実に回復していますが、各種世論調査ではアメリカの今後を「良くなる」とみる国民は3割を割っています。
この「政治的分極化」と将来への不安が、大統領候補としてはかなり型破りなトランプやサンダースを生んでいるともいえます。逆に言えば、エスタブリッシュメント(既成の特権階層)の代名詞であるクリントンやブッシュには逆風が吹いています。 この時代の風が予備選の結果にどう影響を及ぼすか、注目したいところです。
■前嶋和弘(まえしま・かずひろ) 上智大学総合グローバル学部教授。専門はアメリカ現代政治。上智大学外国語学部英語学科卒業後,ジョージタウン大学大学院政治修士課程修了(MA),メリーランド大学大学院政治学博士課程修了(Ph.D.)。主要著作は『アメリカ政治とメディア:政治のインフラから政治の主役になるマスメディア』(単著,北樹出版,2011年)、『オバマ後のアメリカ政治:2012年大統領選挙と分断された政治の行方』(共編著,東信堂,2014年)、『ネット選挙が変える政治と社会:日米韓における新たな「公共圏」の姿』(共編著,慶応義塾大学出版会,2013年)